我が家のモッコウバラ(花色:黄、一期咲)が満開となった(下に画像あり)。
テラスを覆うように自由に枝を伸ばし、薄暗がりの空の元、黄色のカーテンを広げている。
実に美しい、一年で一度きりの宴である。
垂れ下がる枝のラインが美しく、八重咲きのやさしい色合いも心を落ち着かせる。残念ながら、昨晩から雨が降り続いているので(今週は後3日間、雨模様)、今週末で見納めになるかもしれない。仕事さえなければずっと見つめていたい景色なのだが、仕方がない。
この時期(3月から4月)は、いつも新たな気持ちになる。人事異動や木々の芽生えを肌で感じることがこうした気持ちにさせているのかもしれない。
エンジニアとして活動し初めて早35年を経過した。現在は、フリーのエンジニア(独立技術士)として、主に製造業の支援業務を(大学校の非常勤講師も)している。
3月末には、私が始めて就職した会社では、よく知った諸先輩の方々が退社した。また、大学校では大変お世話になった先生が異動で九州を離れた。寂しさを感じる今日この頃である。
本ブログでは、フリーのエンジニアがどのような状況下で業務をおこなっているか、私的なことで恐縮であるが、実態の一部を開示できる範囲で少しお示ししたい。
仕事柄、秘守義務があるため詳しい内容をお伝えできないのが残念である。
特定の企業に帰属しない「フリ-のエンジニア」を目指しておられる方のご参考になれば幸いである(←収入の安定、土日ゆっくり休みたい方には、独立自営の働き方はお勧めしません)。
■近況の「製造業の支援(自動機の構想&設計)」について
とくに、今月に入り、業務が集中し(過多?)、消化不良ぎみである中、本ブログを書いている。正直、もっと時間が欲しいと思っているが、こちらの都合は大抵の場合、考慮されないのが実情である。業務は集中するときと そうでないときの差が激しいが、たまたま4月は繁忙期となっている。
1)(A社)環境機械の開発支援
①低騒音化製品の実現とヨーロッパ輸出(CEマーキング)に向けての支援
CEマーキング取得は、メーカの自己宣言でよいことになっているが第三者機関の力を借りている事例が多いようである。
安全・環境基準の壁が高く、審査通過までの期間と費用は中小企業には大変厳しい。
②出荷製品のトラブル対応
メイン部品であるΦ100のロータ軸-複数のパーツから構成された溶接構造部品(最大径Φ300、長さ
1000、衝撃荷重が常に働く)に亀裂が入ったため、原因と対策を検討している。
真因を見つけるためには、今後の詳しい検査等を待たなければならない。部品(溶接接合部)の亀裂であること、溶接の多層盛りの状態から溶接欠陥部(アンダーカット等、複数の欠陥因子が考えられる)に応力集中が起こった破壊ではないかと考えている(←短絡的な見立ては危険であるが…)。この部品は、装置の主要部品であり、溶接(溶接施工者の技能&人格に依存)の良否に部品品質が直接影響を受ける。4/14に現物を見、2日後に叩き台としてのレポート(原因推測と対策案)をまとめ送信した。
4/19に会社に出向き社長同席の下、会議を実施し、今後の対策等の話し合いをもった、
2)(B社)北米向け自動車生産設備の設計支援
世界は、SI単位に移行してかなりの年月が経っているが、この北米の自動車会社は、未だ「インチ-フィート&ポンド」が主流である。以前は、北米にて資材のすべてを調達しなければならなかった関係で、鋼材ほか購入品すべてのサイズがインチであった。鋼材(形鋼、板材、角材)のサイズも見事にインチサイズであり、日本国内で流通しているものとは明らかに状況が異なる。
技術計算も「インチ&ポンド」である。今回は、資材を日本で調達(設計条件:購入品は一部メー カ指定があり、また北米にて入手が容易なこと)、設備はインチとミリが混在することになる。イ ンチとミリを変換するのは大変な手間がかかる。図面には、公差表記も含め両方を描かなければな らない。設備業界では、相手国や企業の事情に大変影響を受けるのが実態である。
3)(C社)中国向け自動化機械の設計支援
4/7、元部下から設計依頼(構想図作成)を請け、全自動前の単独機械化案(ポンチ絵)を作成、その3日後4/11に、全自動案(2D-CAD図)作成し提出した。
4/19にメール(顧客:3面図が読めないため、2D-CAD図では理解不能)が入り、4/21にあらためて全自動化案でのポンチ絵(設備全体のイメージがわかるもの)を持参しC社担当者と打合せ予定している。
■構想図&概算見積作成
1)構想図→ポンチ絵(俯瞰図 3Dもどき)
2)ワークフロー図
3)概算見積提出
本設備は、数種類のワーク(質量:200kg強)の全自動のワーク着脱装置である。
現在は、ワークの着脱作業を人がすべて行っている(機械化が進んでいない)らしい。
ワークが重量物であり手作業での段取り換えは危険を伴うため一刻も早く機械化を進めたいようである。エンドユーザーは、一度、中国国内の設備メーカに装置の開発&製造を頼んだが、使いものにならなかったとの理由で、(コストが多少高くても)日本の設備メーカに注文したいそうである。C社は大手ではないが、大手半導体製造装置メーカにも設備導入している。製造には、実績がある企業である。見積競合企業は、財閥系巨大企業2社(商社?)も含まれているとのこと。いかに魅力的な構想を早く提供できるかが受注のカギを握る。
ただし、わかりやすい構想図の開示&提出には(失注の際、他社への情報流出のリスクが伴うため)注意が必要。自動機には珍しく複数台(数十台)の受注が見込まれるようである。
■リスク管理
~リスク管理をしなかったことが大きな損失を生んだ~
今年2月上旬に、外付けHDD(ハードディスク)が壊れ、業務に多大な影響を及ぼしている。
なぜ、HDDが壊れたか、また救出の策を施したのかは、話がながくなるので本ブログでは割愛させていただく。
現在、当たり前であるが、紙で出力しているもの以外、過去の資料はすべて見ることができない。

資料は、CAD図、パワーポイント、エクセル、ワード、PDFなどである。今回の出来事は、例えていえば、母屋が全焼しアルバムが1冊出てきたという状況である。初めての独立自営から17年余り経過し、業務のほとんどがパソコンで作成した資料(毎日コツコツと作成してきた資料)である。個人としては膨大な量である。おそらくすべての資料を紙で出力すれば、5㎝ファイル200冊分以上になるのではないかと思われる)。ほとんどの資料は思い入れがあり、二度と作れないものが多数含まれている。とくにCAD図は、1000枚以上の組図・部品図が保存してあったので、後悔の念にかられている。