夏に、韓国人の登山チームが中央アルプスで悪天候に遭遇し、低体温症で4名が亡くなるという痛ましい山岳事故がありました。それと同じ時間帯に、私は単独行で、もっと厳しい北アルプスの剣岳中腹で同じ悪天候に遭遇しました。その日は729日で夏の真っ盛りにも関わらず、雹(ひょう)がヘルメットを叩いて、驚かされたものです。高山を舐めてはいけません。
そんな状況でしたが、私は何とか登頂を果たし、生還することができました。

亡くなられた韓国人クライマーの方々と私の明暗を分けたのは何だったでしょうか? 根性?・・・そんなもの、マンガの中ぐらいでしか役に立ちません。闘気とか覇気とかオーラとかコスモとか持っている一般人はあまり居ないし。では、体力?・・・ボクの体力は大したことありません。じゃあ、テクニック?・・・海外遠征するほどの韓国人クライマーの方々に勝るテクは持っていません。
では、何かというと、テクノロジーの差だったのです!!! ここで、登山の話から強引に技術士らしい話に・・・なるのかな?
 
 山中で低体温症になる理由の殆どは、汗で下着がびっしょりになり、それが冷えて体温とエネルギーを奪われてしまうからです。熱力学を勉強している皆さんなら、その理屈は分かりますよね。
記事を読むと、亡くなられたクライマーの方々は街中で着るような衣服に、薄っぺらいビニール合羽を着用していたそうです。特に木綿の下着は汗を吸いますが、乾きません。ビニール合羽は内側に溜まった蒸気を外に出すことができません。彼らの敗因は、これら装備の怠りだったのです。
 
 一方、ボクは基本的にはケチな節約家なのですが、山には金に糸目をつけない登山ホリックです。最高の装備で臨みました。下着にはファイントレックのドライレイヤーを着用しました。
このドライレイヤーという下着は凄いンです。ハイテクノロジーです。汗をジャンジャン吸って外側に出す(毛細管現象※流体力学)のですが、その方向は一方通行、外側から内側には汗は全く戻ってきません(逆止弁??)。ですから、常に下着の内側はサラサラ。たかがパンツが4千円近くするシロモノなのですがね。
合羽はもちろんゴアテックス。これも透湿性と防水性を兼ね備えた、知る人ぞ知る高級ハイテク素材。
 
・・・最後は熱力学の話に関連づけて、技術士らしくビシッと決めようと思ったのですが、書いていてダルくなったので止めました。結局、登山自慢、道具自慢だけになってしまい、悪しからずです。


最後に自慢ついでに剣岳登頂写真。
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