数年前、仕事とプライベートに忙殺されており、あまり自分自身を振り返ることに時間を割いていませんでした。
ちょうどその頃、通勤電車でよく見かける小憎らしい小学生が、「STEP ACROSS A LINE」と書かれたストラップを首から提げていました。気になったので辞書で調べてみると、「今までとは違うことをする/違うことに挑戦する/一線を越える」という意味でした。
この言葉に気づく少し前に、技術士の受験勉強を始めていました。まだ資格取得後のイメージはあいまいで、あんな風になりたいとか、こんなことがやりたい、ということも漠然としか考えていなかった頃でした。ですが、このときに「週末や早朝の時間をちょっとだけ勉強してみよう」と考えたおかげで、知らず知らずに「Step across a line」を実践したのだと思います。
そのせいで、まったく想像もしていなかった現実に変わったことに気づきました。特に、この週末は私にとってとても印象的でした。
ひとつめは、私が初めて執筆に携わった本の出版記念を執筆者全員で祝えたこと。
ふたつめは、(社業ではなく)新たな事業を興す有志の集まりに参加できたこと。
みっつめは、入社20年目の同期会で普段はまったく顔を合わせない人たちと再会できたこと。
数年前に仕事とプライベートに忙殺されたままだったなら、ひとつめとふたつめの集まりに私の姿はなかったはずです。多くの人がいろんな表現で、「少しを長く続けなさい」と伝えている意味が、ようやく体感できた気がします。
何でも自分起点で変化できるんだ!という自信と希望を再確認できたことで、通勤電車の小学生の小憎らしさも少しかわいげがあったような気がしています。
(畳麹)