かなり久しぶりのNet-P.E.Jpです.
かれこれ5,6年ぶりぐらいかもしれません.
このブログの履歴を遡りながら,懐かしい顔を思い出しました.
 
さて,医療,特に医療機器開発に際しての産学連携の話しを少しばかり・・・.
医療機器というのは,強い規制を伴っている産業界の製品であることはよく知られていま
すが,他にも医療機器の開発に際して特徴的と思われることをいくつか.
私がときどき耳にするところでは,自動車や家電のような一般的な製品においては,大学
と企業とで産学連携を進めるときに消費者のニーズを把握しているのは企業のようです.
今後どういったものが求められるのか,売れていきそうか,などの情報は現状の産業動向
を理解している企業側が握っていて,大学などのアカデミア側はその要請に応じて研究開
発を試みるというのが実態だそうです.
一方で医療機器の場合は,臨床現場でどのようなものが必要とされているのかについて,
大学・医療機関など臨床現場を有しているところは情報を得ることができますが,企業が
そのような情報にたどり着くには現実にはかなり難しいところがあります.
例えば,手術室など臨床の現場でどのように医療機器が使われているをナマで知っている
方というのは実は医療機器開発に携わっている人でも少数派であって,ましてや臨床現場
を体験している方というのは非常に稀です.
これには医療従事者以外の人にとっては,様々な規制から臨床現場に足を踏み入れる機会・
状況そのものが縁遠いという現実があります.
同様に,自動車や家電製品など一般的な製品は開発者自身がその使い勝手を確認できるの
に対して,医療機器とりわけ人工心臓やインターベンション治療器などハイリスクの医療
機器などは医師でないと現実には使えないため,開発者自身がその使い勝手を確認できな
いことも問題点としてしばしば挙げられます.
医療機器を使う際には医師の手技が治療の効果に大きく影響を及ぼすにもかかわらず,エ
ンジニアなどの開発者は,体感として評価するのが困難な状況があるわけです.
これは実は薬剤と大きく異なる特徴です.
薬剤は飲むか静脈投与などで,あまり手技の影響は受けませんから.
また,一般的には使用者・受益者・購入者は同一であることが多いですが,こと医療機器
に関しては使用者=医師,受益者=患者,購入者=医療機関のようにステークホルダーも複
雑な様相を呈してきます.
このように,医療機器の開発に関わるところは通常の製品開発とは異なるところが多々あ
り,一般的な産学連携のスキームも当てはまりにくいのが現状です.
そんな中でも前に進むためには,医療機器開発の特殊性に対応した人材・手法が必要です
が・・・あまりダラダラ書いていると長くなりそうなので,最近はこれらの問題点を改善するた
めの取り組みもなされているのですが,ここでは問題提起のみにしておきます.
特にまとまりもなく乱文で,消化不良だったらすみませんが,最近医療機器の産学連携に
関わっている者の徒然に思うままの記載として….