アベノミクスの恩恵を受けて、少しは景気が回復した気分になった日本であるが、モノづくりの海外シフトが進展するなど、将来に不安を感じない方はいないと思う。
 そんな折、「ワーク・シフト」リンダ・グラットン(プレジデント社)と言う本を読んだ。この本では、2025年における働き方の未来図が予測されていて興味深かったので紹介する。
 
 2025年といえば、今から12年後。そんなに遠くない近い将来である。
私が創造する2025年のある一日のスタートは、こんな感じだろうか。
「朝6時に起床。日課のジョギングと朝食。ipadで電子新聞を閲覧。9時になったので自宅のオフィスに入りパソコンの電源を入れる。モニタの横に置いてある人工知能アシスタントが今日のスケジュールを知らせてくれる。インドでの開発品プロジェクトのミーティングには自分の分身であるアバターを出席させ、夕方にその結果を確認する。私は、これから自己実現のためのセミナーへ出席し、午後からは日課の語学講座へ出席。・・・」
 
さて、本の内容だが、
 これからの未来は、次の5つの要因によって形づくられていくとされている。5つの要因とは、    テクノロジーの進化、②グローバル化の進展、③人口構成の変化と長寿化、④社会の変化、⑤エネルギー、環境問題の深刻化 である。
2025年の働き方は、こんな風になると書かれている。一つ目は、情報の洪水で時間に追われて目先の対応に縛られる。そのため、新たな能力が獲得できず成長していけない。2つ目は、アバターの出現や在宅勤務が進展して、孤独になる。その結果、人との繫がりが分断される。3つ目は、格差社会が進展して、新たな貧困層が出現する。「フラット化する世界」という本があるが、「凸凹な世界」が現れる。
 
 これらに対処するために、次の3つのシフトが提唱されている。
    第一のシフト:ゼネラリストから連続スペシャリストへ
  次々と価値が変化するため、その変化に対応したスペシャリストに移り変わること。また、自分ブランドを築くこと。
    第二のシフト:孤独な競争から協力して起こすイノベーションへ
  3つの人的ネットワークを持つ。共通の価値を見出す少数の盟友ネットワーク。多様な考えを持つ集団に属し、新たな刺激を与えられるネットワーク。仕事を離れた友人関係のネットワーク。
    第三のシフト:モノの消費追求から脱却し、創造的な価値を生み出す人生へのシフト
  大量消費から情熱を傾ける経験へ。家庭や自分の趣味、そして社会貢献についての活動をする。
 
 これまでは、会社が自分のキャリアを決めてくれた分けであるが、これからは自分が主体的に責任をもって働き方・生き方を選択しなければならない。