今回担当します、関東支部のちーたんです。
 
ちょっと前の話ですが、日本技術士会の新春記念講演会(19日)に出席してきました。講演は主に再生医療についてでした。
 
 講演の概略を少々。
(ちょっとうる覚えで、講演内容と違う部分があるかもしれませんがご了承ください)
再生医療の究極目標は臓器そのものを作り、そっくり替えてしまうというものだそうです。自分の細胞から作製するので臓器移植で問題となる免疫、脳死問題等倫理的な事項も回避できるのではと期待されています。
 現在は「細胞シート」というものを培養して作製、角膜や心臓、軟骨や歯根膜に貼り付けると定着し、新たな血管が生まれ、細胞が増殖し再生していくというものです。
 しかし、こういった技術はなかなか普及することは難しいようです。人の問題。そして予算等のお金、法律や倫理、問題は山積しています
 
 上記技術の開発には医学と工学の融合が大切とのこと。両方の知見が融合することによって細胞シートが生まれたそうです。講演された岡野先生も工学博士取得のあと、医学の分野に入り、細胞シートを開発した経緯があります。
 
ちょっと変わって、遠隔手術の話。医者がロボットアーム等を通じで遠隔で手術ができるという技術。手術室に医者だけでなくエンジニアが入り、設備の調整や、実際の手術を通じてさらに設備能力向上を目指しているようです。
遠くない未来では執刀医が地球の裏側にいる、なんてこともあるかもしれませんね。  
 
また、大きく切開しなくても手術できるような器具が開発されているようです。
手術器具なんていうのは日本の技術でいろいろ開発できそうですが、薬事法などで規制されており、器具開発から使用できるまでかなりの年数が必要になる場合が多く、ほとんどの医療用具は輸入品を使用しているようです。(日本では2兆円市場で貿易赤字が約6,000億円だそうです)
最近日米で手術器具の同時申請をしたところ、非常に珍しく先に日本で許可がおりた、なんてこともあったそうです。しかし、対応したメーカーは治験データを各病院にメーカーの人間自ら取りに行く(アメリカではe-mailOK)必要があるなど、許可までの道のりは大変のようです。
 
先の衆議院選で政権が交代したことによってか分かりませんが、24年度補正予算案として再生医療関連に予算がつきました。また規制緩和を行い、医療分野に国としても注力するようです。医療分野だけでなく、国内産業が発展するような施策に期待したいところです。
 
 
この講演を拝聴して自分の専門分野だけでなく、他の分野に視野を向けることによって新技術が生まれる、あるいは応用できる可能性があることがわかりました。
 広い視野が必要ですね。