こんにちは。ふるけんです。

今回は私の業務に関連して、製品安全についてのコラムをお届けしようと思います。

 

 私は長野の自宅を離れ、東京へ単身赴任をしています。週末に中央自動車道を 往復する生活を、かれこれ4年近く送っています。昨年の暮れにその中央道の笹子 トンネルが崩落事故を起こし、大勢の方が亡くなるという惨事がありました。私はそ の時長野の自宅にいて、東京に戻る支度をしているところでした。もし崩落が数時  間ずれていたら・・・私も事故に巻き込まれていたかもしれません。

 

 崩落事故の原因のひとつは、天井板を支えるボルトの経年劣化だと言われています。経年劣化とは、当初の機能や性能がストレスを受け、時間と共に失われていく現象す。経年劣化を起因とする事故は、何もトンネルや橋などの土木構造物に限ったことではありません。私たちの身の回りの製品にも言えることなのです。

 

 屋内にあって良好な環境で使用されているように見える製品でも、目に見えないスト レスを受け続けています。たとえ使用していない製品であっても、ほこり、湿気、熱、日光、塩分、振動・・・などのストレスを受け、少しずつ劣化しています。

 最近は1台の製品を長く使うようになってきました。それに伴い、長期使用による劣化が原因で、火災や一酸化炭素中毒死など、重大な製品事故に結びついているケースが少なくありません。ガス湯沸かし器やファンヒーターによる死亡事故をご記憶の方は多いと思います。30年以上も使ってきた古い扇風機が、コンデンサーやモーターの劣化が原因で出火した例も報告されています。

 また、トラッキング現象が原因の火災も、毎年のように報告されています。トラッキング現象とは、電源プラグとコンセントの間に湿気を帯びたホコリがたまり、プラグの刃と刃の 間で微弱な放電を繰り返すうちにホコリが炭化して導電化し、ついには刃と刃がショート して過熱し、出火に至る現象です。

 

 このような事故を防ぐには、節目ごとの点検が欠かせません。笹子トンネルでも、しかるべき時期に点検していれば、事故を起こさずにすんだでしょう。しかし一般の消費者には 点検の必要性が十分周知されていないのが実情です。身近な製品は身近さゆえに、つ いその存在を見落としがちです。また、経年劣化によってどういう危険が潜み、どのよう  な危害を受けるおそれがあるのか、よく知らない人は意外と多いのではないでしょうか。 身近な場所に潜んだ危険が大きくなりつつあるのに、それに気づかず生活しているケー スは多々あるものと思われます。

 

このブログを読まれたら、さっそくご家庭で長年使っている製品に注目してみてください。

 

・異常な発熱や変色、異音、こげたような臭いはないでしょうか?

・電子レンジやトースターなど、食品のカスがたまっていませんか?

・冷蔵庫や洗濯機など、買ってから一度も抜いたことがない電源プラグはありませんか?

・ACアダプターを使い回ししていませんか?違う機器のACアダプターを使うと、発煙・発火の危険があります。

・電池を廃棄する際は、回収箱の中の電池同士がショートして過熱する危険があるので電極をテープで絶縁しましょう。
               

上記はほんの一例ですが、異常をみつけたら使用を中止し、販売店や専門業者に点 検してもらうことをおすすめします。

 

 大きな事故は、小さな不注意の連鎖から生まれるものです。逆に言えば、小さな注意 の連鎖が大きな事故を防ぐことができるのです。

この記事の影響力は微々たるものでも 、このブログを読んだ人から次の人へ、また次の人へ注意の連鎖が繋がり、結果として製品事故の防止につながったら、これに勝る喜びはありません。