東日本大震災から1年半以上経ちましたが、9/3のNHK「クローズアップ現代」で津波火災が取り上げられていました。津波火災というと、港にあったタンクや流された自動車から燃料が漏れ出し引火したイメージが強かったのですが、番組ではそれ以外でも、自動車が原因で火災が起きる仕組みを指摘していました。
その一つが、バッテリに繋がったままのオルタネータが海水に浸かることで電気が流れてしまい、それによって海水を電気分解して水素を発生させるというものです。しかも引火源は、当時の被災地映像でもよく見かけたクラクションの誤動作で、音を鳴らす際の放電により空気と混ざった水素に引火し爆発炎上する、という指摘でした。
もう一つ、同じくバッテリに繋がったままのヒューズボックスが海水に浸かって火災を起こす例も紹介されていました。基板のプリント配線に使われた銅が腐食したとき、腐食部分が導体パターンを跨ぐことで設計にない配線を形成して電気を流してしまい発火する、という指摘でした。しかも、腐食が原因のため、津波が引いた後何日も経ってから火災が起こるそうです。
私は普段、自動車部品の開発に携わっていますが、この件について全く知見を持っていませんでした。恐らく会社の同僚も知らないでしょう。想定外と言ってしまえば簡単です。でも、この問題は社会的な課題であり、技術士としてその解決に向き合わなければならないと考えています。技術士法第一条には、「科学技術の向上と国民経済の発展に資する」という文言があります。技術者は皆世の中を良くしたいからこの道に入った、技術士はその最たる存在の一つだ、と私は思っています。
日本技術士会のWebサイトで、明日が技術士1次試験の試験日であることを知りました。技術士になる第1歩を踏まんとする皆さん、どうぞ全力で頑張ってください。そして試験の後でかまわないので、技術士になって何をするのか、社会をどうしたいのか、改めて考える機会を持っていただければと思います。