貧乏1 | 貧乏ネトゲ少女

貧乏1

いつも、繭の家へは走って向かった。

なぜって、二人の夫婦生活について一刻も早く彼女と話し合いたかったから。

勘違いしないでほしい。

ボク米倉啓介は、繭と、付き合っている訳でも、結婚している訳でもない。ただの仲間だ。

まだ小学校4年生だから、専門学校生の繭とは結婚できないよ。

まがり間違って、つきあっていると仮定しよう。
繭は、半ズボン姿のウブな男の子好きな、「ショタコン」と言うことになる。

ボクが仲間=パーティとして冒険をしている時の繭の行動から推察するに、彼女はいたってノーマルだと思う。

 独りでいるより二人で冒険したほうが、経験値もあがりやすい。たまたまスタート地点の「旅支度の街」の教会で、一緒だったからパーティを組んだまでだ。神父様の長い「旅支度の話」にシビレを切らし途中で教会を一緒に出た。ただ「気があった」だけだ。

ボクは、回復系魔法を得意とする癒し系キャラを選択し、繭は女の子だけど、剣を操る攻撃型キャラを選んでいた。

繭が戦い、ボクが回復魔法を使えば、都合がいい。
都合がいいから、一緒に旅にでた。それだけだ。

 最初は、ただの仲間だったけど、結婚をすることにした。結婚すると王国から補助金がでるから。子供ができると一人につき100ルギーの補助金が出るしね。すべては金のためだよ。けっして繭が好きだった訳じゃない。ネトゲの夫婦なんて、そんなものだ。

ボクはずいぶん歳上の繭と疑似結婚している言い訳を、頭に夢想しながら、繭が、親と住む家に向かった。