『TPPは新しい秩序か 羊の皮を被ったオオカミか』
IV. <トロイの木馬 米が目指すは太平洋アジア自由経済圏>
米通商代表部の差し金であることは詳しくコチラ(英文論文)に載っている。
<要約>2011.3.3 ボストン大学論文
アメリカは現在の加盟国に対しては既にFTAを結んでいるのでメリットは小さい
The United States clearly sees opportunities beyond the eight current
parties, and hopes that more countries will join the TPP.
狙いは既に大幅な自由化がされてる現行の国々以外であることは明白だ。日本の参加表明によってTPPが急に戦略的な意味合いを持ち始めた。
つまり「he would be “America’s first Pacific president”」
オバマが初の太平洋大統領になるという事である。
成長著しいアジア地域に何とか食い入りたいアメリカにとってTPP拡大はアメリカの国境線を太平洋ちょ真ん中から広げることになる。アメリカにとってはEU圏、アジア圏、アメリカ圏の3大経済市場圏からTPPを通じてEU,アジア太平洋の2大経済市場圏の図式に指導権を持つことが狙いだ。
この巨大なアジア太平洋経済圏はいまの2国間FTAなどよりは戦略的に優れている。
目指すはTPP→Free Trade Area of the Asia Pacific (FTAAP)
アジア太平洋自由貿易圏だ。
TPPを進めることによりWTOでインドやブラジルから譲歩を引き出せるかもしれない。APECも同様だ。
ニュージーランドの対米輸出の50%が農作物だ。ニュージーランドはアメリカから多くを得るが、アメリカにとってはあまりメリットが無い。 オーストラリアの公共医療に対する現行の米・豪FTAの規制をTPPでは外したい。“Trade Promotion Authority” (TPA).がないと議会の賛成は得られないだろう。問題はTPPがアジア太平洋自由貿易圏の骨格となりうるか、
アメリカのTPPを現行の2国間FTAに優先するやり方はTPPの入ろうとする他の国にとっては魅力が無いだろう。アメリカは結局TPPより多国間で2国間FTAを進めるようになるかもしれない。
農産物などの除外品を求める日本などはTPPに入りたがらないだろうし、そうするとTPPが発展することも無い。
中国はアメリカを除いたASEAN+3を望むし、日本はASEAN+6が中国との経済バランスを考えて有利だと思うだろう。
米通商代表は最近のTPP参加国の交渉で苦戦しているようだ。
いづれにしてもアメリカが太平洋のリーダーとなりうるTPPを進めるのはいいかも。
TPP全24分野を斬る(途中) 農業 郵貯 保険 医薬 平成の売国か? デメリット編
より抜粋