not 「灰色の鷹」 but 「疾き鷹」(ハイタカ) | その日ばかりの野鳥観察

その日ばかりの野鳥観察

山あり海あり川ありの自然に恵まれた新潟県中越地方で、野鳥を観察しています。
出会った野鳥を、気ままに紹介したいと思います。

前回、市内の自然公園にてエナガの群れと出会った時の続きです。

ビニール紐の混じった鳥の巣を見つけた直後の事でした。

 

 

突然、目の前を黒い影が横切りました。

傍にいたエナガの群れを蹴散らし、あっという間に飛び去って行きます。

凄いスピードで、エナガ達を襲ったように見えました。

大きさはヒヨドリよりも少し大きいくらいです。

 

 

後ろ姿を肉眼で追いましたが、飛び方がヒヨドリではありません。

ヒヨドリならば波状飛行のはずですが、一直線に飛び去るからです。

木々の中に逃げ込みましたが、ゆっくりと近付きながら探してみます。

見つけました。

 

 

 

 

木々の間から、枯れ木にとまる猛禽類の姿が見えます。

その周囲では、ヒヨドリ達が騒いでいました。

先程現れた黒い影は、ヒヨドリではなくてこの猛禽類だと思います。

ゆっくりと場所を移動して撮影を続けました。

 

 

 

 

黄色い目(虹彩)、白い眉斑、淡い赤味を帯びた頬と後頚部が確認できました。

特に、後頚部~背部の色と模様が美しいと感じます。

おそらく、ハイタカだと思います。

森林への依存度が高い小型の鷹で、冬季には山地林から平地林に降りてくる個体が多いのだとか。

初めて見るので、現場では確信が持てませんでした。

 

 

 

 

静かに近付いたつもりでしたが、既に気付かれていました。

バッチリと目が合ってしまいますが、こちらをあまり気にはしてはいない様子です。

少しだけ移動する事はあっても、周囲を見渡しながら長く留まっていました。

来た道を戻ると正面に回り込めるため、正面からの撮影に臨みます。

 

 

 

 

真下に来てしまいました。

鋭い爪が良く分かりますが、片足で止まっているようです。

晴れていても寒いので、もう片方の足は羽毛の中に仕舞っているのかもしれません。

 

 

 

 

もう少し離れると、ようやく正面の顔を見る事が出来ました。

直立して枝に止まる姿は、とても凛々しいです。

胸部には横斑が確認できました。

 

 

この自然公園でトビ以外の猛禽類を見るのは初めてです。

以前、園内でドバトやトラツグミやジョウビタキが襲われた形跡を見つけた事がありました。

ジョウビタキならば、ハイタカが襲う事はありそうです。

 

 

ハイタカ(全長30~39㎝)はオオタカ(全長50~59㎝)よりもずっと小さい事に気付かされました。

また、ハイタカの名前の由来は「疾き鷹」だそうです。

私は「灰色の鷹」だと誤解していました。

 

 

より詳しく調べてみると、ハイタカの幼鳥の胸部は横斑です。

他の猛禽類のほとんどは、幼鳥の胸部は縦斑のはずなので、この点が異なります。

 

 

また、幼鳥は太くて白い眉斑が特徴なのだとか。

この個体は、ハイタカの幼鳥なのかもしれませんね。

 

 

 

 

独りで続けている鳥見なので、図鑑⇒鳥見⇒図鑑⇒…の繰り返しです。

ふと、故事や論語の一部を思い出しました。

 

「百聞は一見に如かず」

「学びて時に之を習う、亦説ばしからずや」

 

本当にその通りだと思います。