今回は野鳥の話ではありません。
先日訪れた、美人林での事です。
この林では、オオアカゲラの他にも出会いがありました。
動物に詳しい方には簡単かもしれませんが、名前が判明するまでに時間がかかりました。
野鳥を探しつつ、風景の写真を撮っていた時の事です。
背後の茂みから、「グルゥゥゥゥ、グルゥゥゥゥ」と唸り声がします。
唸り声は大きくはないので、クマではないだろうと思いましたが子グマの可能性があります。
緊張しながら、茂みの中を遠巻きに覗きました。
何とも可愛らしい生き物を発見しました。
大きさは両手の掌くらいで、体を覆うくらいの大きな尻尾があります。
最初、二ホンリスだと思いました。
しかし、茂みから飛び出して走りますが、とても遅いのです。
しかもすぐに走り終えて、木にも登る気配がありません。
私の知っているリスは、もっと素早く走り、木にもスルスルと登ります。
体も全体的に丸っこくて、二ホンリスとは違うようだと感じました。
人懐っこいのか、こちらに興味を持ち、じっと見てきます。
逃げるどころか、むしろ近づいてきます。
妻にメールで写真を送ったところ、「ハクビシン?」との返信が。
いえいえ、ハクビシン(白鼻芯)にしては特徴である鼻の上の白い線がありません。
外来種といえば、アライグマの可能性もあるのかもと思いました。
しかし、縞々な尻尾を持つアライグマの特徴とも異なります。
何にせよ、可愛い哺乳類との素敵な出会いに恵まれました。
去り際も、こちらを追いかけて来るような行動をとります。
餌付けでもされていたのでしょうか?
やたらと尻尾を頭の上にかざすので、頭巾の様に被っているみたいです。
・・・威嚇されていただけかもしれませんが。
スカンクは威嚇の際に尻尾を上げて、相手に肛門を見せるそうです。
結局、正体がわからず、モヤモヤしたまま美人林を後にしました。
帰宅後にネットで検索したところ、ようやく答えに辿り着きます。
その答えは、ムササビ(ホオジロムササビ)でした。
撮った画像をよく確認してみると、前足と後足の間に肉の襞(飛膜)があります。
しかし、夜行性かつ樹上生活者のムササビが、日中に地上で行動しているとは意外でした。
非常に貴重な経験を積めました。
よくよく考えてみると、美人林はムササビにとって良い環境なのかもしれません。
餌であるドングリが多く、滑空するには高木が多いブナ林は都合が良いです。
キツツキ類の開けた穴を巣穴に利用するのかなと思いましたが、樹洞などを利用するそうです。
大きさを考えると、キツツキ類の開けた穴はムササビには小さすぎるのでしょう。
小鳥やリス、モモンガにはちょうど良いのかもしれません。
今度は、モモンガに出会ってみたくなりました。
もっとも、夜中に訪れる勇気はありません。
滅多にないチャンスを、再び期待しています。