いっとき前までは、
数学など机上の空論の代名詞のような存在で、
授業であるから皆、一応は仕方なく勉強するけれども、
社会に出れば最も不必要で無益な学問と考えられていた。
ところが─、
最近になって、数学がやたらもてはやされ、やれ数学的思考が、
大事だの、数学がビジネスを変えてゆくだの、
突如、「 数学 」がビジネス界のトレンドキーワードへと、
急浮上して来ている。
雑誌やメディアは、ごぞって特集記事を組み、
出版界でも「 ビジネス×数学 」のコラボレーション書籍で、
1つの棚が埋まるほどだ。
『 コンピュータに仕事を奪われる時代、生き抜くための「 数学の言葉 」』
http://diamond.jp/articles/-/85114
『 これからのビジネスマンに欠かせないスキルは「 数学 」だ!』
http://diamond.jp/articles/-/84708
かつては─、
数学というと、名前を聞いただけで虫唾が走る分野の、
代表選手のような存在で ( 今でもそうか? )、
出版業界においても、本文中に数式が1つ増えるごとに、
売り上げが半減するなどといった話も聞いたことがあるが、
いやはや─、
時代も、変われば変わると言うか、
勝手と言やぁ、勝手な話でもある。
かく言う私も中学の数学までは、なんとか、
付いては行けたものの、
高校の数学以降は、少々苦労を強いられたクチで、
その後も─、
数学とは、それほど、
蜜月な関係を保ってきたわけではないのだが、
一応、理工系の大学、大学院を修了し、
その後もソフトウェア開発などという仕事に、
携わって来た理系人間の端くれとしては、
- これからのビジネスマンには数学が必要
- 数学がカネを生みビジネスを動かす
などという話は、決して悪い気はしない。
また─、
「 ビジネスにおいて大事なのは、技術や専門知識ではない!」
などと、声を大にして主張する、
社内の "アナログ連中" を黙らせる意味でも、
まさに─、
好機到来といった歓迎ムードは否めない。
また─、
こういった私個人の感情論的な理由にかかわらず…、
実際─、
数学は、勉強しておけば役に立つことも少なくはないだろう。
しかし─、
昨今の、この手の論調には、
注意すべき点があることも事実だ。
( 次回へつづく... )
『「 数学 」と「 数学的思考 」との混同が招く落とし穴 』