流浪の月
2020年本屋大賞受賞した凪良ゆう原作!
「悪人」や「怒り」の李相日監督が広瀬すず×松坂桃李をダブル主演に抜擢し映画化!
父親が他界しマイペースな母親に捨てられた家内更紗は引き取られた親戚の家でいとこから性的嫌がらせをうけていました。
更紗はロリコンの大学生に誘拐されて2ヶ月間監禁されていた事で世間で一躍有名人となるが虐待や暴行など存在しなかったし、それは以前の家庭で起こっていたこと。
15年後、養護施設で育ち高校を卒業してから彼氏と同居生活していた更紗は偶然にも誘拐犯と出会う。
せっかくの善意を捨てていく、そんなもので救われない。

ネタバレあらすじ
原作のネタバレです!!
家内更紗の家庭環境
家内更紗の母親はマイペース過ぎる人で我慢は絶対にしない。昼から飲みたければ酒を飲み、気が向いたときにしか料理はしないしアイスクリームが晩飯になる事もある。
父親は市役所に勤めている事もあり冷静に物事を判断し嫌いな人とでも付き合いが出来ます。母親はとにかく父親とくっついていたいらしくキスも毎日している。
家庭環境の事を友達に話すと信じられないらしく「やばい人の子だから」と変わり者扱いされるようになります。それでも更紗は幸せで母親のように自由に生きて父親のような人と結婚すると考えていました。
しかし、そんな幸せな生活は更紗が9歳の時に終わりを迎える。
父親が病死し母親に捨てられた更紗は伯母の家に引き取られる事に。今まで家庭で普通にやっていた事をするとダメらしく伯母はどんな教育をしていたんだと怒ります。叔父は「子供の前で止めろ」と常識があるようだが母親と仲悪かった伯母は思い出して不機嫌になる。
何より嫌だったのは従兄弟にあたる中学2年の孝弘の目付きが気持ち悪いことだった。それからというもの更紗はすべてに我慢して人に合わせて生活していたため母親は正しかったのだと確信するのです。

少女の常識が通用する生活
孝弘からの性的イタズラも加わり、家では息が詰まるし食事の味すら感じない。自分を出せるのは公園で一人で本を読むときだけでした。
この公園には一人で本を読む大学生がいて「ロリコンだから誘拐される」と噂されていました。
ある日、話しかけられ「帰りたくない」と口にすると家に来るかと誘われたので「行く」と返事しました。彼の名前は佐伯文、「文でいいよ」と言うので年上の男性に対して戸惑いながらも更紗は文と呼び捨てで呼ぶことにします。
ロリコンだからと言って変態とは限らない。
むしろ紳士的にお世話をしてくれているし自分の中の「常識」を普通に受け止めてくれる。そんな文は母親の「育児書」通りに育てられ炭酸飲料は飲んだことないしお腹いっぱいご飯を食べたこともない人でした。更紗は「変だ」と思うが家庭によって自分の「常識」が通用しないのは身にしみて分かっているので黙っていました。
頭をポンポンされた更紗は父親を思い出し、久しぶりの気持ちのこもった「癒やし」を感じて「更紗って呼んで、ずっとここにいていい」と聞くと文は「いいよ」と言ってくれました。
命の恩人だと感謝した更紗は自分の「常識」を進めるうちに文の規則正しい生活が少しづつ崩れていきます。そして更紗も文のスタイルに合わせて生活する時もあり自分でも変ったと思います。
幸せな生活が続く中で更紗は自分の状況をすっかり忘れパンダを見たいとお願いしてしまったことで文が誘拐犯として逮捕されてしまいました。
更紗は泣きながら文と叫ぶが警察によって引き離されます。心の中で「悪いのは孝弘だ」と思うが文は優しかったと警察やカウンセラーに話し絶望しながら伯母の家に戻りました。
その夜、孝弘が部屋にやってきたので準備していた酒瓶で殴り、「誘拐されて心が不安定」と診断され養護施設に行くことになりました。
心にはいつも文の存在
9年間の施設暮らしを終えた更紗は高校を卒業してから就職します。
ネット上に広がっていたので更紗は被害者として有名でした。それは高校を卒業して職場でもそうだったので新しい恋人・亮と一緒に暮らす時に自分の事でいろいろ聞かれるのが嫌だったので仕事を辞めました。
更紗はいつまで経っても「被害者」としてかわいそうな目で見られる事が嫌で、反応しなくなり大人しい人と言われるようになっていました。そして口にした事はないが孝弘を思い出すので体を重ねることは好きではない。
そして亮が「結婚」の話しをするたびに「守るから心配しなくていいよ」と言う。前の恋人にも言われていた事だが言っている事は優しさ・善意なのは分かる。でも自分はかわいそうな人なのか、自分はおかしいのか、誘拐されて15年経った今でも文に「教えて」と問いかけます。
誘拐犯との再会
亮が出張の日、夜8時からオープンする珍しいカフェに行くと「いらっしゃいませ」の声を聞いてすぐに文だと気付きます。
残業だと偽り店に通うようになるが徹底してコミュニケーションを避けている様子が伺えるので覚えているか聞くことが出来ませんでした。
文はロリコン、だけど必ず成長して大きくなるから愛しても必ず失うことになる。そんな文の苦しみを今は理解出来ます。
どうか文が幸せでいますように、それと自分の事を忘れないでほしいと更紗は願います。

ある日、店に行くと亮がやってきたので驚きます。亮は最近様子がおかしくなった更紗を心配してアルバイト先の店にシフトを教えて欲しいと頼んでいたのです。
好きな人が出来たのだろうと疑う亮はいつも以上に優しくなります。そんな亮の仮面を被った笑顔に更紗は少し怖くなります。
祖母が倒れたと連絡があり「一緒に来てくれ」と子供のように情けない姿でお願いされた更紗は分かったと返事し実家に行きます。
ここでも「被害者・かわいそうな目」で見られ居心地が悪かったが、自分の肘に出来た痣を見て亮の従妹から殴られたんでしょと聞かれ驚きます。
前に別れた彼女に暴力を振るって問題になったらしい。また亮の母親は夫の暴力に耐えられなくなり恋人を作って出て行った事から捨てられたくないので帰る場所がない人を恋人に選ぶようになったのだと教えられます。
亮の話と全然違うが自分が知っている文と世間が知っている文は違うのでそれぞれの解釈があるのだろうと思います。
物語の中盤まで紹介しました。
ネタバレ感想を結末まで知りたい方がこちらを参照してください。
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