創作文「聖子が呟く」シリーズ第４弾「震災ゴミ」
登場する人物・団体など名称は全て架空の物です
特定の地名なども一切関係ありません。
第１話完結
2024年元旦早々に発生した能登半島地震
自然界の事だから人の生活都合で
「チョット待ちーな」が出来ない。
地震が発生して１ヵ月が経ち
被災地の避難者が投稿したSNSを
テレビが切り抜きで報道したとか
自治体が運営している廃棄物処理場の
設備も震災で復旧遅れにより
『地震で壊れた震災ゴミの置き場が満杯』
私は晩御飯が済むと部屋でSNSを
検索していたら小癪で可愛い妹が
『お姉ちゃん有ったよここの町だよ』
妹のSNSとSMSの活用術はスパイアニメに出て来る
諜報機関並みだぜ
フォロワー数を私と比較すると天と地の差だ
後日父にそれとなく会社に出入りしている
廃棄物引取り業者にトラックが借りれないかを
相談してみると直接社長から電話が来た
『おい聖子、最初からお前が電話せんか、バ〇タレ』
父が遠回しに話をしたため怒られちまったぜ
計画日の週末に祝日があり３連休だ
実行日の木曜日は定時退場して帰宅した
小癪で可愛い妹が連れて行けと言う
道中で食べるサンドイッチも用意されていた
ニッカポッカが似合い、気が利く可愛い奴だぜ
小癪で可愛い妹
廃棄物引取り会社へ行くと『震災支援』の横断幕
妹は『映える』と言いスマホで撮影した
運転手は会社の後継ぎの長男が務めてくれる
トラックに乗り込んで北陸に向かって走り出した
私の日頃の行いが良いせいか好天に恵まれ
北陸の一般国道は雪の心配が無いと言う
妹は頻繁にスマホで何かやり取りをしている
『連絡出来たよ、現地に着いたら直ぐに積み込み』
妹は最初のSNS投稿者とのやり取りをしていた
出発時の横断幕撮影もこのためだった
大学生で埋もれているのが勿体無い人材だ
長野県で小休憩した、サンドイッチがバ〇旨という
確かに旨い芥子が絶妙だ今回は妹に勝ちを譲った
日付が変わって真っ暗な現地に到着した
トラックの出入りも支障が無く問題無しだ
積み込み予定位置に停めて運転手に仮眠をさせた
現地の被災者で重機が運転できる人が協力した
マスクもしてないので『中脾腫』の事を(注１)
簡単に説明して予備の防塵マスクを譲った
次から次へと震災ゴミが積まれて行く
妹はここでも映えると言い撮影をしていた
小癪で可愛い妹が慌てて走って来た
『お姉ちゃん大変だよ』
SNSを見て関東・東海・関西方面から回収協力で
トラックがこっちに向かっていると言う
嫌な予感がした、妹のスマホを見てみると
・出発前のトラック横断幕横でワンショット
・長野で休憩中のサンドイッチを銜えたワンショット
・真っ暗な被災地で支援物資を運ぶワンショット
・被災者と重機横で話し込むワンショット
小癪で可愛い妹はSNSで私を題材にして拡散してた
構図の決め方が私よりも上手だと感心しながら
『やばいな、手に負えんぜ』
私は重機の運転手に地域の区長とか役所の人と
話がしたいと申し出ると『私は区長だ』と言う
事情を説明すると『わかった、任せろ』と言う
行政や警察に見つからないうちにトンボ帰りだ
仮眠中の運転手を叩き起こして出発した
重機を運転する区長がプップーと鳴らしてくれた
帰りも妹はスマホで何やら操作している
廃棄物引取り会社に到着すると会社前には
何十台もの軽トラから自家用車が停まっている
妹は今回の震災ゴミを自宅の粗大ゴミとして
各自の方法で片づけてくれと事前に拡散させていた
来てくれた人には私とのツーショット有りだとか
被災地の震災ゴミが私の笑顔で減るなら
お安い御用だと愛嬌をブチ撒き散らしたぜ
そこへ役所の職員と警察が訪ねて来た
今回の件は廃棄物運搬法違反に相当するらしい
パトカーを見て社長がやって来た
『おい聖子、寝不足は肌に悪い早く帰って寝ろ』
社長には女の子供がいないため私の顔を見るたびに
娘の様に可愛がってくれるオッサンだ
『あんたら役所は被災地へ支援に行ったかね
パソコン・プリンターは壊れバックアップも壊れ
契約書が発行出来ないから現地の区長とホラ見ろ
スマホの電子媒体で契約したぞ』
晩御飯時になると食卓に缶ビールが２本あった
普段はサンマ缶のフタが外せない父だが
『聖子、ご苦労さん』と労いながら
缶ビールを勧めてくれた
『父さん、トラックの手配ありがとう』
終わり
主人公 聖子災害支援イメキャラ
(注１)#中脾腫とは
#アスベストが何らかの要因で飛散している場所で
自然呼吸していると肺に入り込み何十年後に
呼吸不全などの症状が出る厄介なものです。
2006年以降は法律で使用禁止されてますが
それ以前の鉄骨を用いた建築物等にはアスベストが
使用されている確率が高いです。