大統領は同行してくれた大使にポツリと言った
「なあ、大使、私はこの国の最高司令官と思っていたが
サラにとっての最高司令官はママなんだ」
大使は返事に困ってしまったが大統領の気持ちに合わせて賛同した
大統領はある事を思い付いた
「サラ、パパは大統領だからサラに重大任務を与えるけど良いかな?
サラ新米三等兵に大統領自ら任務を与えるが
与えた任務が遂行出来なかった場合は軍法の規律に則り
軍法会議より軍罰を与えるものとする、以上だ」
サラの頭の中は「・・・・・・・?」だったため
「ねえパパ、ジュウダイニンムってなあに?」
同行した大使は大統領と娘のやり取りが可笑しくなり吹き出しそうになった
大使はサラに「ママに逢う事だよ」とコッソリ教えた
そして、大統領父娘は大統領専用車に乗って大統領官邸を目指した
大統領官邸ではサラが空港に到着して大統領パパと再会した報告が
執事より大統領夫人に伝えられた
夫人はその報告に安堵して両手を合わせて指を組んだ
「神に感謝します」とポツリと呟いた
しかし夫人は自分だけが先に帰国していたためその後は部屋で
籠る事が多かった
しばらくすると大統領官邸に大統領とサラを乗せた公用車が到着した
執事が車のドアー開け先に大統領が降りて来た
大統領はてっきり玄関前で夫人が待っていると思ったが
姿が見えなかったため執事に問い合わせると
官邸付きの報道陣の前にとても姿を出す事は出来ないとの事だった
大統領パパはサラに手を差し伸べて公用車から降ろした
官邸付きの医療スタッフが大統領にサラの健康診断を申し出た
基本的な健康診断と監禁中の薬物投与有無の検査だったが
大統領は先にサラをママに会わせたいからと意見した
サラもママが玄関で待っていると思っていたが姿が見えないので
「ねえママは?どこにいるの?」
執事は正直に出て来れないと言えなかったため
「夫人はお部屋でサラが無事に帰国します様にとお祈りをしてますよ」
サラは小走りで官邸内に入った
大統領パパもサラの後を追い掛けて行った
ママの部屋のドアーの前に来るとノックしながら
「ママー、サラよパパと今帰って来ました」
 
                            つづく