第40話
 
ステラの目から溢れた涙がホールの畳に滴り落ちていた
甘川老人はステラの肩をポンポンと叩き
「ホレホレ、久し振りじゃのう、大人になったべっぴんさんの顔を見せんか」
老人の長男が通訳となって間に入ったためやっと真面な会話になった
ステラは泣いている顔を見せまいと両手で涙を拭って頭を上げた
「おじいちゃん先生、私、大統領家族が目の前で誘拐されて
何も出来なくて自分が情けなくて仕方が無いです」
甘川老人は、その話は日本でも衛星放送で連日放映され
マシンガンを持った数人のテロリストを相手にするのは無謀だと諭し
それよりも大統領夫人の方が遥かに偉いと言い
その証拠に全員が無事ではないかと諭した
「それよりもステラ、飯は食ったのか?腹は減っとらんか?」
ステラはこれが済んだらアパートに帰り食事をするから大丈夫と
おじいちゃん先生からの誘いを丁重に断ったが
日本のお誘いの文化をここでもステラは忘れなかった
「そんな事を言わんと、わしは久し振りにステラとの食事をしたくて
わしらが泊まるホテルで用意はしてあるぞ、日本のママさんが作る
オムライスの味は西側国で出せないが食べてみるか?」
そして、日本から来た一行とステラは場所を宿泊ホテルに移動して
ささやかな再会の食事会が始まった
ステラはおじいちゃん先生との再会が嬉しくて
話の先制攻撃を始め出した、それは、西側国滞在期間から始まり
自分の警護官任務の都合に合わせて稽古に通って良いか等で
それはまるで相手の都合を無視して『おねだり』だった
「勿論良いとも、語学交換留学で日本に来た時に毎日の様に
投げられて受け身ばかりして来た根性主だからな、それと
受講料はタダで良いぞ」とステラのおねだりを笑いながら承諾した
そんなステラに甘川パパは英語表記のチラシを渡した
そこには近日西側国で日本の合気道道場がオープンとあり
明日からはそこで寝泊りをしながらオープン準備が始まると
甘川老人の長男が通訳して説明してくれた
「明日からはそこで稽古が出来るのですか?」
ステラは説明の途中で質問をするぐらい前向きでいた
甘川パパと甘川老人は
「勿論、ウエルカムだよ」
 
                            つづく

主人公「サラ」イメージキャラ
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