これは私が中学生の頃のお話です。
PTAの集会の日に、いつも出席する
不思議なおばさんがいました。
みんなから、エプロンおばさんと呼ばれて
いたんです。
なぜかと言うと、
お化粧は遠目でも、はっきりわかるくらいの
厚塗りメイク。これから舞台に登場する
女優さんのようです。
目いっぱいおしゃれをしています。
頭には羽飾りのついた帽子をちょこんと被り
セレモニーに出席するような礼服です。
不思議なのは、その礼服の上にフリフリの
エプロンを身に着けていること。
お母さん代表で出席するからでしょうか?
堂々と廊下を歩くさまが、不思議な雰囲気を
醸し出しています。
アニメに出てくるような、
ぽっちゃりとして、やさしいお顔の
エプロンおばさんは、中学校の七不思議の
ひとつでした。
PTAの集会日には
教室の窓から、みんなでエプロンおばさんを
眺めながら、不思議を話し合います。
あのエプロンは母としての自負があるから
身に着けているのだろう。
あれは戦いの鎧のようだ。とか
人がどう思おうと、自分のスタイルを通すのは
すごい。凄すぎる。
潔いエプロンおばさんに
みんなで拍手を送っていました。