掃除当番は席順で6人をチー厶で
班長を決めます。私が班長になりました。
中間試験の前日、私たちは職員室そばの
下駄箱が並ぶ通路の掃除当番でした。
ホウキと、チリトリを持って
掃除に行こうとした時です。
ほか5人は
「試験勉強したいからごめんね。掃除頼む」と
つぎつぎに帰ってしまったんです。
教室の掃除班も、掃除しないで帰ってる。
あらら?!まっ、いいか。
1人でスノコを上げて、掃除をしていると
職員室の前で金子先生が声をかけてきました。
「どうしてお前1人で掃除してるんだ?」
「えっ、あとでほかの人も来るわよ」
と、誤魔化したものの
金子先生は、すぐに担任に報告し
担任が「ほかの連中はどうした?」
「遅れて来るんじゃないかしら」
すぐに教室まで見に行き、ひとっこ1人
いないのを確認して戻ってきました。
「あいつら帰ったんだな、お前1人に任せて」
「……」
翌日、担任が帰った生徒に言いました。
「試験の点数が上がれば、それでいいのか?
自分の責任を果たせないのに、
胸はって喜べるのか?
昨日お前らのことを聞いても○○は何も話さ
なかった。お前たちを、かばって1人で掃除
して、みんなの分まで頑張ったんだぞ。
その思いは尊い。誰に何を言われようと
ブレることなく、やり抜く。
潔い姿に先生は感動して涙が出たよ。
成績がなんだってんだ。人として正々堂々と
胸はって生きてみろ。
みんなで○○に、謝れ!」
担任は目から涙が溢れていました。
「悪かった。ごめんね」
「職員室の前だよ。いくら隠してもバレるよ。
泥縄式で勉強したからって、それがどうなのよ
ふだんから勉強してたら慌てることなんて
ないのよ。遊びと勉強ときちんと、
メリハリつけて頑張りなさい。」
「わかったよ。もう絶対にしないから
ごめんね。」
悪ガキたちが深く反省しているので、
許してあげました。
またも金子先生の見守り隊です。
先生が1人ひとりに目を配っていたので、
私たちの学校ではイジメなんて陰湿な生徒は
1人もいませんでした。