転校してから数ヶ月が過ぎ、
クラブ活動は園芸部に入部しました。
ひとりで静かな時間を楽しみたいし、
植物を育てるのが好きだから。
大輪の菊を育てていました。
毎日の水やり、枝の誘引、病気になっていないか
確認し、虫がついていないか
葉の裏までチェックして、菊に話しかけて
いました。
元気ないね。どうした?
何なに?喉が乾いたから水が欲しいって。
それじゃ〜、たっぷり飲んでね。
お前は、花が傾いてるね。
太陽が当たる向きを変えたら、
傾きが直るかしらね。大鉢を回します。
独り言をつぶやきながら
楽しい時間を過ごしていたら、
ん?なぜか視線を感じる。見ると
窓際から、ニコニコ顔の金子先生が
眺めていたんです。
「えっ、いつから見てたの?」
「ん〜、ちょっと前かな。楽しそうな声が聞こえて きたからね」
「もぉ〜、声かけてよ」
「楽しそうだったから邪魔しちゃ悪いでしょ」
そうか。金子先生の窓際の目の前に、
鉢が並んでいたんだ。
ひとり遊びしてたのに、
また楽しませてしまったか。