ポップティーンからの連絡でいきなりオーディションを受けることになった俺。



適当な気持ちで俺は向かった。





到着するとそこはTVで見るような大きめの会議室。





廊下ではいろんなヤツが声を出し演技の練習をしている。





もうこの時点で俺は帰りたかった。




正直言ってルックス的にはなんでおまえが?ってヤツばっか。





冴えないヤツばっかりでそれもまた一段と帰りたくなる理由だった。




でも、ソイツらの本気さはヤバかった。






3人ずつ位会場に入るから前の人のやってるのが聞こえるんだけど、





俳優さんって感じの腹から出た声が聞こえてくる。





俺は緊張はしてなかったが「何すりゃーいいんだよ!」と





頭の中で何回も考えた。




そんなことしてるうちに俺の出番が来た。




前に立つと名前と年齢を言わされ、




少し間があってから審査員の方が口を開いた。




「え~っと、コンビニかレストランの店員を演じてくれるかな?」




俺はなぜか即答でコンビニを選んだ。




多分普段から行ってるからわかりやすいと思ったんだろう。




浅はかだった。



一人で:
「いらっしゃいませー!」


(無言のまま商品を読み取る振り)



.
.
.
.
.



「あのー、やっぱレストランでいいですか?」






無理だと思った俺は急遽変更。(笑)




再度一人で:
「いらっしゃいませー!」


「ご注文がお決まりでしたらお聞きします。」


「はい、、、はい、、はい。」

(注文を聞いてる振り)


「かしこまりました、少々お待ちください!」





そして終了。







一生に一度の辱しめにあった気持ちだった。(笑)






人前で演じること。


それを生業としていくことの凄さ。




肌で感じた。





言うまでもなく受からないことは確信していたので、





そのオーディションのことは自分の中に封印していた。




やっぱ俺は読者モデル程度でいいや!って。





そうしてまた渋谷で遊ぶ日々が始まり、





一週間後。






母親から電話があり、





どっかの人が大至急連絡がほしいと自宅に電話してきたみたいで、





番号を伝えてきた。




ヤバイ。学ロンか?(笑)





恐る恐るかけてみると、







そこは芸能プロダクションだった。




つづく