色々見ていると、プラチナ期におけるファンの思い入れは非常に強そうである。そこで、わたし自身があまりよく存じ上げなくて恐縮なのだが、現在のモーニング娘。の話をする前にもう少し「プラチナ期」について述べてみようと思う。2007年以降、2011年に9期が入るまでオーディションによるメンバの新規加入が一度もなかったため、この時期のメンバは歴代のモーニング娘。においてもいちばん長い期間同じメンバで過ごしたようである。このときのメンバは次のとおりである:
高橋愛 (5期)リーダ
新垣里沙 (5期)
亀井絵里 (6期)
道重さゆみ (6期)
田中れいな (6期)
久住小春 (7期)
光井愛佳 (8期)
ジュンジュン(8期)
リンリン (8期)
モーニング娘。の歴史をみると、4年間も大きくメンバが変わらなかったのは珍しいようである(久住小春だけは2009年に卒業)。ここまで長期政権になるとそれなりにメンバにも色が出てくるのも頷けよう。前述したように、この時期のモーニング娘。のパフォーマンスはじつにアーティスティックで、ストイックにアイドル道を邁進していたように思う。自分で言うのも何だが、本当に「ストイック」という言葉がぴったりであろう。目立ったスキャンダルもなく、「アイドル」としてのプロ意識は歴代の中でも最高だったのではないだろうか。メンバ全員が、アイドルとしての自己規定を強烈に意識していたものと思われる。
普通に考えれば、二十歳そこそこの女性が恋愛に興味がないわけがない。尾篭な話で恐縮だが、精神的にだけでなく、身体的にも色々な興味がわく時期でもある。こういう時期において、文字通り「偶像」としての自分を演じきるというのはなかなかできることではあるまい。もちろんそれが仕事だと言ってしまえばそれまでであるが、かつて何人ものアイドルが「普通の女の子になりたい」とか「恋愛スキャンダル」で「ファンの期待を裏切る」ことがあったことを鑑みると、プロとしての矜持を強烈に感じるのである。
ただし、あまりにもストイックであったためか、バラエティなどではいまひとつ活躍できなかったというのも事実であろう。例外的に6期の3名だけは器用に(好き勝手に?)やっていたようだが、これまで「黄金期」がやっていたようなおバカな企画はついぞ見かけなくなった(わたしが知らないだけかもしれないがw)。もちろん原因は他にもあろうが、やはりテレビ的な演出を考えると高橋、新垣では地味なイメージはぬぐえない。良い悪いではなく、これも一つの方向性であっただろう。この時期にこそ熱烈なファンがいるのもこのあたりに理由があるのではなかろうか。
こうして長らくメンバが固定していたモーニング娘。だが、2010年に6期亀井が療養のために卒業し、時を同じくしてジュンジュン、リンリンが中国に戻ることになった。ついで2011年初めにに9期メンバが加入し、さらに半年後に10期メンバが加入することでメンバの新陳代謝は一気に進んだ。2011年には高橋愛が卒業し、さらに2012年5月には新垣、光井が卒業したため、モーニング娘。はある意味でまっさらな状態になったといってよい。
ここで話はようやく現在につながる。今年の5月に6期メンバの道重さゆみが第8代目リーダに就任し、「新生モーニング娘。」としての第一歩を踏み出すことになったのである。
(気が向けば、つづく)