ショーシャンクの空に | One of 泡沫書評ブログ
ショーシャンクの空に [DVD]/ワーナー・ホーム・ビデオ ¥1,500 Amazon.co.jp なんとなく思い立って観てみた。二年前に非常に簡単な感想を書いた が、今回あらためて観直してみると色々な発見がある。と言っても英語の勉強を兼ねて英語字幕で観たので内容が把握できていない部分もあるかもしれないが、以下に少しだけネタバレとともに感想を書いた。 本作はご存知の通り、ベストセラー作家スティーブン・キングの書いたミステリー小説を下敷きに、フランク・ダラボン監督が映画化したものだ。Wikipedia などをみると、原作は『刑務所のリタ・ヘイワース』という名前だったそうだ。リタ・ヘイワースは40年代アメリカで人気を博した女優さんだそうだが、本作の非常に重要な位置を示すある意味でネタバレの一種なのかもしれない。まあ、とにかく本作は人生で一度くらい観てまったく損はない名作だと思うので、ぜひ機会を見つけて楽しんでいただきたい作品である。 【ネタバレ】 以下はネタバレを含む感想であるので未見の方はご注意ください。 本作の評価は高く、一般には概ね「希望を捨てず数十年もの間、忍耐強く頑張った主人公の感動物語」というものだろうと思う。たしかに表層的にはそのように映る。有能な銀行員だった主人公・アンディは、娑婆でのスキルを塀の中においても遺憾なく発揮し、刑務所内においても特殊な位置についた。はじめは主任刑務官の節税を手伝っただけだったが、噂を聞きつけた多くの刑務官の手助けをするうちに、いつの間にか所長の秘書のような立場になり、かれの「裏帳簿」を管理するようになる。 こういうシーンを観て凡人たるわたしはどう思ったか? もちろんこれは、「希望を諦めなければいつかかなう」などという感想ではなく、「塀の中ですら、やはりこれまで培ったスキルが全てであり、何にもできないやつは何にもできないまま朽ちていくのだな」という諦念であった。 考えてもみよ、終身刑で刑務所に収監され、そこから出てきたといっても、多くはブルックスのように悲しい末路を遂げるだけだろう。50年も刑務所で暮らし、徹底的に世の中とズレた状態で社会復帰するなんて無理に決まっている。しかし、意思の力と、それを裏付けるスキルさえあれば、こんな世界でも一定の地位を手に入れ、それを利用してさらに娑婆でのお金も工面することすら出来るのだ。 芸は身を助く、というと少し矮小化しすぎている感もあるが、結局はそういうことだろう。one of themなら何処にいても希望は持てないが、自分のスキルを高く売れる市場があり、そこに適切にマーケティングをして売り込み、さらに高い目的のために活動すれば、いつか希望は花咲くかもしれない。たとえそれが10年20年という歳月の先にあるものだとしても、諦めなければいつか希望は手にすることが出来る。―――ただし、スキルがあれば。これが本作最大の教訓だろう。そう考えると穿ちすぎだろうか?
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