ゲーム「バイオハザード」のフルCG映画。
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「バイオハザード」といえば、1996年に発売されたカプコンの「サバイバルホラー」というジャンルのゲーム。ゲームからスピンオフして、ハリウッドで映画化(ミラ・ジョヴォヴィッチ主演)されているから、ゲームをしない人でも、知っている人が多いのではないだろうか。日本では「BIOHAZARD」として発売されたが、北米などでは商標の関係から「resident evil」シリーズとして世に知られている。すでに、世界的にはこちらのほうがメジャーなタイトルであろう。
残念ながら、2008年10月17日の「前夜祭」には行けなかったのだが、本日、無事観ることができた。初日の限定公開ということもあり、客層が明らかに独特なのが印象深かった。とりあえず、レビューしたいと思う。
<<注:極端なネタばれはしないように致しますが、観たいがまだ未見だという方は、以下は観てから読むことをお勧めいたします>>
本作はミラの映画版バイオと異なり、完全なゲーム版バイオの映画である。主役となるのはレオンとクレアだ。基本ストーリィは「2」をベースに、7年後の世界を描いているらしい。つまりゲーム版「4」の約1年後ということになるが、「4」のキーパーソナリティであるエイダやウェスカーは残念ながら登場しなかった。また、クリス・ジル・バリーなどの奇数系キーパーソナリティも登場しない。このあたりは原作(ゲーム)に対してちょうどよい距離感を保っていると言えるだろう。
ストーリィはオリジナルだが、レオンとクレアが初めて遭遇する場面のあのセリフとか、ラストの舞台でのアクションとか、シリーズをやりこんでいた人にとっては「にやっ」とするような演出が盛りだくさんである。もちろんレオンとクレアのボイスアクターはちゃんとゲームのそれとまったく一緒だ。ゲームファンとしては、まったく不満のない仕上がりといえる。これは逆に言うとゲームをやっていない人には少しわかりにくいのではないかということでもある。まあそんな感じで、ゲームの世界観、設定を知らない人は少し置いてけぼりにして話は進む。そして、最後の演出では、来年3月に発売予定の「バイオハザード5」につながるという、カプコンの戦略にまんまと乗せられてしまうという構図である。「regeneration」は、「2」「ベロニカ」「4」の続編で、「5」までの繋ぎという位置づけになるわけだ。
見どころは、ゾンビの復権とでも言おうか。リッカーやハンターなどの大物系は出てこず、登場するのはひたすらt-ウィルスのゾンビだ。これが、結構怖い。ゲームをやりこんだ私などからすればゾンビなど「いまさら感」漂う弱小クリーチャーのはずなのだが、物語の導入の秀逸さで再度、初代バイオ的な恐怖を演出できているのがすばらしい。ゲームをやってる人間はレオンやクレアと同じ視点でゾンビを見るわけだが、本来はラクーンシティの惨劇を経験として知らないのだから、アンジェラやグレッグのような反応をするはずなのである。こうした文脈で、近年「単なるアクション」の烙印を押されてしまっている「バイオハザード」シリーズに、再び「サバイバルホラー」の面目を復活させたと言えるだろう。これはシナリオを第三者的に追える映画だからこそできる芸当であり、メディアミックスの非常にいい面が奏功したのではないだろうか。
まあいろいろと理屈をつけたけども、とにかく非常に面白いので、ゲームファンには必見です。
いくつか残念なところをあげると、
・レオンが「なけるぜ」と言わない
いつも女性に振り回される僕らのレオン君が、これまで以上にクールになっており、
終始クールなままで終わってしまう。
できれば、アンジェラに振り回されてほしかった。
・クレアの出番が少ない
ゲームで言えばレオンとアンジェラのアクションシーンが「表面」、クレアのパートが「裏面」。
レオンは「4」で十分主役を張ったわけだから、クレアをもっと出してほしかった。
そして、もちろん次回作の「5」で主役予定のクリスも出番なし。残念。
・黒幕のグラサン男が出てこない
出てくるのかと思いきや、まったく触れられさえしなかった。
と、まあいろいろあるのだが、一番は
・レオンが居るのにエイダがいない
これは、エイダ萌えの私としては痛恨の極みである。