ブンデスリーガにいたっては、優勝争いは2チームに絞られそうだ。誰もが認める世界的強豪バイエルン・ミュンヘンに、昨季はバイエルンとビッグイヤーをかけて争ったボルシア・ドルトムントだ。バイエルンに関しては言うまでもないだろうが、ドルトムントも近年では2010‐11、11‐12で連覇、昨シーズンも2位に付け、正しくバイエルンにも勝るとも劣らない強豪となっている。そしてスタートダッシュこそ失敗したが内田篤人も所属するシャルケ04、そして昨季3位のバイヤー・レバークーゼンも充実した戦力を有する。スタートダッシュに成功したハノーファーや昇格組のヘルタ・ベルリン、ラファエル・ファン・デル・ファールトがチームを引っ張るハンブルガーSV、ルイス・グスタヴォを迎えたヴォルフスブルクにも注目だ。
昨季優勝のバイエルン・ミュンヘンは、今季はより攻撃的なチームへと変貌している。監督にジョゼップ・グアルディオラ監督を迎え、守備に定評のあるルイス・グスタヴォを放出。新たに獲得した戦力は、ドルトムントから引き抜いた、攻撃の局面で違いを作り出すマリオ・ゲッツェ、ペップがバルセロナから連れてきたテクニック豊かなスペインの至宝、チアゴ・アルカンタラだ。もちろんペップのサッカーはハイプレッシングからのポゼッションサッカーであるため、攻撃的な戦力で問題ないのかもしれないが、今季はフォーメーションも含めかなり攻撃的だ。昨季はCBもできるハビ・マルティネスとバスティアン・シュバインシュタイガーの2ボランチだったが、今季の主戦術はシュバイニーをワンボランチ気味に置き、その前にゲッツェやトニ・クロースらを置くといった布陣だ。もちろん近年シュバイニーの守備能力が向上しているのは知っているが、やはり彼はワンボランチというタイプではないと思う。ワンボランチは出来るのかもしれないが、彼の攻撃的な持ち味を活かすのであれば、守備的選手を同時に使うべきではと個人的には思う。いずれにしても今季のバイエルンは昨季同様ブンデスリーガ最高のタレント集団であり、実際実力があることも間違いない。だが、今はまだペップの戦術が浸透していないのも事実だろう。ペップがいかにしてチームをまとめるかが、バイエルンがより高見へ行くためのキーポイントだろう。
バイエルンの対抗勢力であるドルトムントは、バイエルンを抑えての優勝候補に推す声が多いチームだ。チームを安定した強豪へと押し上げたユルゲン・クロップ監督も6年目を迎え、チーム内の戦術理解度や結束はバイエルンよりも上だろう。今季はエースのゲッツェをバイエルンに奪われたが、同ポジションにはアルメニアのジダンことヘンリク・ムヒタリアン、更にサイドにはスピードスター、ピエール=エメリク・オーバメヤンを獲得。更にマッツ・フンメルスとネベン・スポティッチに次ぐCBとしてブレーメンのディフェンスリーダー、ソクラテス・パパスタソプーロスを引き抜き、リーグ制覇に向けてほぼ万全な体制を整えた。引き抜き確実とも言われていたロベルト・レバンドフスキも残留し、マルコ・ロイスやマルセル・シュメルツァー、スベン・ベンダーにイルカイ・ギュンドアンも健在だ。長いリーグ戦にあり、抜群の組織力を誇るドルトムントこそ、マイスターシャーレに最も近いチームなのかもしれない。
昨季4位のシャルケ04も、2強ほどビックネームはいないものの、非常に実力のあるメンバーが揃っている。移籍期間終了間近にケビン=プリンス・ボアテングを獲得し、4‐2‐3‐1フォーメーションの前4人には世界的に名のしれた名手が揃った。1トップにはオランダ代表の点取り屋クラース=ヤン・フンテラール、右にはペルーの至宝ジェフェルソン・ファルファン、そして左にはシャルケが育てた異才、ユリアン・ドラクスラーが陣取る。トップ下にプリンスを加えた布陣は、間違いなくブンデスリーガ屈指だろう。マルコ・ヘーガーとロマン・ノイシュテッターで組むボランチもまだまだ伸び盛りであり、ディフェンスラインはシャルケ魂を体現する男、キャプテン・ベネティクト・ヘーベデスがまとめあげる。ウィークポイントであった左サイドバックにはデニス・アオゴを補強し、シーズンほぼフルメンバーで戦うことができれば、3季連続のチャンピオンズリーグ出場権は最低限のノルマだろう。
昨季3位のバイヤー・レバークーゼンだが、やはり選手個々の実力だけを見れば、前述した3チームには劣る。昨季チームの攻撃を引っ張ったアタッカー、アンドレ・シュールレ、左サイドバックで躍動したダニエル・カルバハルを引き抜かれ、今季は大刷新を敢行した。しかし加入した選手も、韓国代表ソン・フンミンやU‐21イタリア代表ジューリオ・ドナーティといった評判は高いが実力は未知数なメンバー。最も名前が売れている選手でスイス代表エレン・デルディヨクだろう。シュテファン・ライナルツやベンダー兄弟の兄、ラース・ベンダーなど昨季チームを支えた中盤も健在だが、やはり今季もチームが躍進するには、シュテファン・キースリンクの得点が不可欠だろう。良くも悪くもこの1トップ次第というのが、今季のレバークーゼンとなるだろう。
その他で注目しているのは長谷部誠が不在となったヴォルフスブルク、酒井宏樹のハノーファー、ファン・デル・ファールトのハンブルク、そして予想外の開幕戦を繰り広げた細貝萌所属のヘルタ・ベルリンだ。ヴォルフスブルクはボランチにルイス・グスタヴォを迎え、攻撃のジエゴ、守備のグスタヴォと攻守に信頼の置ける選手が中盤に揃った。1トップには元バイエルンのイビチャ・オリッチも在籍しており、守備さえ安定すれば上位進出も十分あり得るだろう。開幕から好調のハノーファーは、ディフェンスラインにセリフ・サリを加え、昨季62失点の雪辱を目指す。元々攻撃力には定評があるだけに、守備さえ強化できればヨーロッパリーグ圏内もありえない話ではないだろう。ハンブルクはレバークーゼンと同じように、チームの中心であるファン・デル・ファールト次第だろう。上位進出は微妙なところかもしれないが、天才を中心に置いたチームは見ていておもしろい。開幕戦でフランクフルトに6‐1と圧勝し、現在6位に付ける昇格組のヘルタ・ベルリンは、非常に戦術のはっきりとしたチームだ。もちろん精度などまだまだ改善すべき点はあるが、確固たる戦術意識をもったチームは低迷しにくく、相手側としても厄介だ。上位進出には相当な努力と運が必要となるだろうが、堅守速攻がハマれば、今季のブンデスリーガの大穴になりえるだろう。
結果としては今季のブンデスも、昨季の2強は変わらないだろう(昨季は1強のようなものだったが)。次いでシャルケ04が戦力としては充実し、昨季3位のレバークーゼン、あわよくばヴォルフスブルクやハノーファーが上位を狙うだろう。ドイツは上位を除けば特に戦力が拮抗しているため、もちろんほとんど全チームが欧州カップ戦圏内を視野にいれているだろう。
1位・ボルシア・ドルトムント
2位・バイエルン・ミュンヘン
3位・シャルケ04
4位・ハノーファー
5位・ヘルタ・ベルリン
6位・ヴォルフスブルク
7位・レバークーゼン
今季は全チームが格上、強豪と認め守備を固めるであろうバイエルンを2位。シーズン通して安定して成績を残せるであろうドルトムントの王者奪還と予想したい。戦力を見ればシャルケ04は3位に入らなければならず、CLと2足の草鞋で挑むレバークーゼンは、サミ・ヒーピア監督のファーストシーズンと言うことも加味して、今季は若干低迷すると予想。逆にハノーファーとヘルタ・ベルリンの躍進、ヴォルフスブルクは安定した成績を残すと考える。