2013-14シーズン、セリエAで唯一開幕3連勝を成し遂げたチーム、SSナポリ。今季はエースストライカーのエディソン・カバーニ、センターバックのウーゴ・カンパニャーロ、名将ワルテル・マッザーリも引き抜かれ、開幕前は少なからずナポリスタは不安を感じていたことだろう。しかし蓋を開けてみると開幕3連勝。新加入のゴンサロ・イグアインとホセ・マリア・カジェホンも早々に移籍後初得点を決め、これ以上ないスタートを切った。そんなナポリにあり、自身も既にチーム最多となる4得点を挙げ、チームを牽引する中心選手が存在する。それがナポリがかつて誇った強力トライアングルの生き残り、マレク・ハムシクだ。
1987年生まれのハムシクは、反ナチス運動「スロバキア民主蜂起」の中心ともなったことで有名なバンスカー・ビストリツァで生まれ育った、スロバキア代表だ。元々は地元の小クラブでサッカーを学んだ彼だが、2002年にスロヴァン・ブラチスヴァの下部組織へ入団すると、2004年17歳時にプロデビュー。その後すぐにセリエAのブレシアへ移籍すると、2007年時にナポリへのステップアップを果たした。すぐにチームに欠かせない戦力となった当時20歳の若者は、2008年にはイタリア人以外で初となる若手サッカー選手賞を受賞した。スロバキア代表としても各世代別代表に選出され、代表においてもチームのW杯ベスト16進出へと貢献した。
ハムシクはアタッキングサードにおいて、全ての仕事をこなすことができるアタッカーだ。主戦場はトレクァルティスタ、中盤ならCMFやサイドハーフ、全てでプレーすることできるが、やはり彼の持ち味は前線でこそ生きる。彼の元々の持ち味を考えればインクルソーレが生きるポジションなのかもしれないが、いずれにしろ彼の能力が最も生きるのはアタッキングサードだ。フリーランによる走り込みにも定評があるが、ボールを持てばドリブル、パス、シュート、なんでも高次元で体現することが出来る。ファンタジアがあり、タイミングで相手を置き去るドリブルに、シーズン2桁が保証される得点能力。そして彼が最も評価されているのが、状況を打開するパスによるアシスト能力だ。ピルロのような優しい後方支援のようなパスではないが、ゴールに直結するラストパスで昨季はセリエA最多となる18アシストを記録した。怪我や好不調の波も極めて少なく、出場時間でも昨季のセリエAフィールドプレーヤーでは最多となる3441分を記録した。
今シーズンこれ以上ないスタートダッシュを決めたナポリにあり、その攻撃の核としてチームに君臨するナポリのバンディエーラ、マレク・ハムシク。そのトサカ頭や腕の刺青からは想像もつかないような紳士で真面目な優等生だ。ナポリには世界的にも珍しい番号が、唯一の永久欠番として指定されている。それは世界で最も有名なサッカー選手の1人、「ナポリの王様」ディエゴ・マラドーナが背負った背番号10。世界的にもエースナンバーとして知られる番号は、ナポリでは永久にマラドーナのものだ。そのマラドーナと同ポジションでプレーし、数多の強豪からの熱視線を躱しながらナポリに忠誠を誓う、エース・ハムシク。セリエAでは史上初となる若手No.1と認められた外国人であり、チームでは欠かすことのできない司令塔だ。彼はナポリの歴史に名を刻む事が自らの夢だと語る。彼が21世紀の「ナポリの王様」になることがでるのであれば、パルテノペイの歴史にはこのスロバキア人の名前が深く刻まれることとなるだろう。