イタリアの首都ローマをチーム名に纏うチーム、ASローマ。ジャッロ・ロッソの愛称で親しまれるセリエA屈指の名門であるが、近年は衰退が続き、チャンピオンズリーグから遠ざかっている。近年衰退地味であったローマであるが、今季は非常に好スタートをきった。開幕3連勝、総得点8に、失点は僅か1。ナポリに次ぐ2位に位置している。開幕からの勢いは申し分なく、更にローマは今年新加入選手を多く加え、リーグ屈指の戦力を有している。ニコラス・ラメラやパブロ・オスバルド、マルキーニョスといった昨シーズンの主力は放出したが、フィオレンティーナからドリブラー、アデム・リャイッチ、右サイドバックには以前は世界最高のサイドバックとも評されたマイコン・ダグラス、不安定だったGKには元イタリア代表モルガン・デ・サクティスを獲得した。そしてダニエレ・デ・ロッシが一手に担っていた中盤の舵取りを助けるべく、中盤にも新たな選手が加入した。それがPSVから満を持して4大リーグ挑戦を果たしたオランダ代表、ケビン・ストロートマンだ。
1990年生まれ、まだ23歳の彼は、2008年にスパルタ・ロッテルダムのトップチームに昇格した。若くして活躍した彼はその後FCユトレヒトに移籍し、2011年にオランダ屈指の名門、PSVアイントホーフェンの仲間入りを果たした。PSVでも欠かすことのできない戦力として活躍した彼は、昨季にはマルク・ファン・ボメルとともにリーグ屈指のボランチラインを形成した。オランダ代表でも2011年にデビューを果たし、精度の高い技術力で監督の信頼を掴んだ。ファン・ボメルの控えという扱いでの起用であったが、それでもUEFA欧州選手権2012予選では初得点を決め、自らの存在をアピールした。
彼は監督からすれば非常に使いやすい、計算できるプレーヤーだ。まず彼の最も大きな武器はその展開力だろう。長短どちらのパスも、強く正確に供給することができ、その左足から放たれるパスはチームにエネルギーを与える。スピードが抜群にあるタイプではないが、自らボールを持ち上がることもでき、レジスタの役割とインクルソーレの役割をこなすことができる。水準以上のディフェンス能力も持ち合わせ、ディフェンスにおいても計算ができる選手だ。またプレスキック能力も精度が高く、右のエース、フランチェスコ・トッティや新加入リャイッチとともに並べば、相手GKにとってはこの上ない驚異だろう。
近年安定した停滞期間を過ごしていたローマだが、今季は好スタートをきった。そのローマにあり、中盤で即戦力として扱われる選手、それがケビン・ストロートマンだ。若い頃から技術力に定評があり、毎年のように欧州4大リーグ挑戦が囁かれたが、23歳を迎えた今季、ようやくその噂が現実のものとなった。絶対的エース、トッティ、そしてデ・ロッシに加え、もう一人試合をコントロール出来る選手が加わったローマは、今季こその復活を目指す。ローマ移籍時にはアウダイール氏の永久欠番であった6番を身に付け、物議を醸した。彼がその番号を自らの確固たる意思で受け継いだのかは私には分からないが、永久欠番であったはずの番号を背負った彼には、活躍する義務がある。しかし、彼がローマの心臓となり、その6という数字を背負うに値する選手であると全てのロマニスタに示すことができれば、ローマはまた新たなレベルへと昇華することができるだろう。