スタディーツアー参加者のブログ
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サナハスタカラ事務所の訪問

1. サナハスタカラの歴史的背景と役割

サナハスタカラとは「小さな手工芸品」という意味で、1989年にユニセフ(UNICEF)による経済的・技術的支援の下に設立された非営利団体である。新しい技術や商品アイデアの導入のみならず、伝統的な手工芸を用いて生産を続けることで、不利な立場にある手工芸生産者(その多くは女性)の収入向上と貧困削減を主な目的としている。サナハスタカラは国際フェアトレード・ネットワーク組織のIFATとフェアトレード・グループ・ネパール(FTG Nepal)加盟している。FTGNでは加盟する団体全てに「フェアトレード(公正な貿易)」の認識を高める働きかけを行っている。また、生産者に適正な賃金が支払われているかの確認も行う。

サナハスタカラは80以上の生産者グループとの取引を行っており、およそ1000人もの人々が直接的・間接的にその活動の恩恵を受けている。また、プロダクション・センターには12人のスタッフが働いている(20078月現在)。ネパールは地理的な要因から交通環境が十分に整っていないため、サナハスタカラはネパールの様々な地域に暮らす生産者と国内外の消費者に、マーケットのアクセスを提供する「仲介役」も担っている。海外の輸出先はアメリカ(最主要相手国)や日本、オーストラリア、ヨーロッパの国々である。シャプラニールとはこれまでに、11年にわたる取引を続けている。長い時間をかけてビジネスをすることで、お互いの信頼も強まり、生産者の安定した収入につながる。

売上で得られた収入の25%は、サナハスタカラの取り分となる。そこから事務所の家賃、スタッフの給料、啓発活動といった必要経費を差し引いた残りのお金は、Producer Development Fundに貯蓄される。そして、その集まった資金は生産者へのトレーニングや教育、保健衛生のプログラムのために使われている。

2. サナハスタカラの扱う主な製品

サナハスタカラが扱っている手工芸製品は実に多岐にわたる。

l 手織り物

l 手すきの紙製品

l ウール製品

l 金属製品

l 金銀細工製品

l 木造彫刻

l 絵画

l ミティラ

l 楽器

l 銀やビーズのアクセサリー

l フェルト

ミティラとは、ネパールの民族で元々家の壁に絵を描く文化があったことから、それを商品化したもので、人や動物などの絵が千差万別に描かれる。筆者がサナハスタカラで購入したミティラ製品は、壁飾りとしてだけでなく食器類を載せて運ぶことができるトレーとしての役割も兼ね備えており、実用的な工夫が施されていた。

3. 日本で今、最も人気の商品

日本に輸出している商品の中で、アローはとりわけ人気商品とのこと。アローはイラクサという植物の茎の外側の皮から作られている。他にもフェルトやニット製品が人気だそうだ。

4. 現在の取り組みと今後の課題

現在、サナハスタカラは他の団体と共同して、ヘンプ(麻)とコットンを合わせた製品作りに取り組んでいる。実際に見せていただいた衣服は、コットンの生地をベースにして、ヘンプが装飾されており、付加価値の高い独特な製品に仕上がっていた。

今後の課題は、原材料を国内で生産できるようにしてコストを下げることにある。アローはネパールで取れるが、コットンはインドや中国からの輸入に頼っている。今後の支援が増えれば、ネパール国内でオーガニック・コットンを生産することも可能になるとのこと。

サナハスタカラのニット生産者訪問

名前:小松豊明

出身:北海道

現在の所属:シャプラニール クラフトリンク チーフ(カタカナばっかりですな)

趣味:音楽、スキー

今回のツアーへ向けた抱負:シャプラニールでは2回目のツアー引率になります。フェアトレード部門のチーフとして、シャプラニールのフェアトレードに対する考え方や姿勢を伝えたいのと同時に、昨年まで駐在していたネパールの様々な側面を見て欲しい、そのためのお手伝いができればと思います。

報告

サナハスタカラのニット生産者訪問

日時:2007820

場所:カトマンズ市内

サナハスタカラ事務所で代表のチャンドラさんから話しを聞いた後、サナハスタカラが扱うニット商品の生産グループのうち2つを訪問した。

針編みグループ(ジャグリティ地区)

ここは地方からカトマンズへ上京した人々が集まって暮らすようになったいわばスラム地区。リーダーのマヌ・クマリさんもビラトナガルという東部の都市から13年ほど前にカトマンズへやってきたという。彼女の家へお邪魔した。家の中にはメンバー数名が集まっており、立ちながらニットのマフラーを編んでいた。

この地区の135世帯のうち、ニット生産グループに参加しているのは4050人ほどだという。このグループではオーダーが入れば仕事をするという形で、みんな家事や育児の合間に時間を見つけて編み物をしているとのこと。1本のマフラーを編むのにゆっくり作業して2から3日かかるとのこと。賃金は1本につき50ルピー。

かぎ針編みグループ

全部で16人のメンバーがいるというこのグループは、かなりの技術を要する鉤針編みを専門にしている。ラム・パティおばあちゃんの部屋の前に座って話を聞いた。やはりみんなせっせと手を動かしている。こちらはカラフルな糸を使って帽子を編んでいた。頑張れば1日に45個はできる。賃金は1個当たり25ルピー。このグループのメンバーは全員タルーという平野部出身の人々で、今でも田植えや稲刈りの時期には地元へ帰るという。

感想:サナハスタカラのチャンドラさんの話の中で、生産者にもフォーマルとインフォーマルがあるという説明があった。フォーマルとは毎日決まった時間に工場や生産センターへ通い、一定の給与を受け取る人々であり、インフォーマルとはオーダーが入ったときだけ自宅で仕事をする人々、という訳である。

前者は日々コミュニケーションが取れることもあり、フェアトレードに関する情報提供や意識付けも行いやすい。また、この仕事から得られる収入が家系の中に占める割合が多く、活動の効果が測定しやすい。それに比べて、後者は継続的な仕事が約束されているわけではなく、生産者の生活の変化においてフェアトレードがどれだけ役立っているのかを測るのは難しい。

この日訪れた2つのニット生産グループはいずれもインフォーマルな生産者グループであった。スラム地区や45人の家族が小さな部屋を借りて暮らしている貧困の現状を垣間見ることはできたと思うが、フェアトレードの現場という点では疑問を持った参加者もいたのではないだろうか。

全体を通しての感想

今回は私を含めて9名とスタディツアーとしてはちょうど良いサイズだったと思う。年齢も幅広く、様々なバックグラウンドを持つ参加者と話をし、意見を聞きながら私自身も大変勉強になった。

最も印象に残ったのはポカラでWSDPの生産者を訪問したときのこと。数人の生産者の家を訪ね、家族も含めて話を聞いたが、ある生産者は父親が外国の軍隊で長期間勤め上げて帰ってきたといい、夫も外国へ出稼ぎに行って不在であった。外国で長期間働いたということはネパールの経済レベルではかなりの収入を得たはずである。なるほど石造りの立派な家で暮らしていた。その様子を見た参加者からは「フェアトレードは貧困削減の手段であるはずなのに、この状態は貧困といえるのだろうか」といった疑問が呈された。それに対し私は「確かに家は立派で収入も安定しているかもしれない。しかし夫がずっと出稼ぎに出なければならない状況をどう考えるか。貧困の捉え方によっていろいろな解釈ができるのではないか」といったような回答をした。納得できる回答だったかどうかは自信がない。

その生産者に対して誰かが「WSDPの仕事をするようになって、どんな変化がありましたか」と質問した。答えは「以前は何を買うにもいちいち夫の承諾を得なければならなかった。今は子どもの教育にかかる費用など必要なものは自分の判断で支出できるようになった」。するとひとりの参加者が「私、それすごくよくわかる。ずっと一家で酪農をやってきて、自分の思うようになるお金なんてなかったから、やっぱり何をするにしても夫の承諾が必要だった。けれど、外へ働きに出て自分が給料をもらうようになってからは、必要と思ったものは自分の判断で買えるようになったの。それって、すごく大きなことなのよね」と自分の経験と重ね合わせて話してくれた。私も生産者のこうしたコメントはよく聞いていたが、その参加者の一言でみんなの心の中にスーッと落ちていったような気がした。

最後の振り返りの時間。参加者の多くが「いろんな人がメンバーにいて、メンバー同士の濃い話し合いの中で学んだことがとても多かった」とコメントした。私も全く同感である。翻って、私からはツアーに参加してくれたみんなへ何を伝えられただろうか。参加者それぞれの報告を待つとしよう。

ツアー参加の動機と感想

名 前:片桐 牧子

仕 事:ホームヘルパー

参加の動機 仕事に行き詰まり、もう辞めようと思っていた時、シャプラニールの会報『南の風』に、このツアーの参加者募集が載っており、目に留まった。仕事を辞めたらどこかへ行きたい、遠いところへ行ってみたいと思っていたので、「行っちゃえ!」という感じですぐ申し込みました。

結局、仕事は辞められず、長期休暇になりましたが…。

ネパールについては、高校生のとき、岩村昇・史子著の『山の上にある病院 ネパールに使いして』、続編の『ネパール通信』、『わがふるさとネパール ネパール通信2』(新教出版社)などを読み、感銘を受けたこと、使用済み切手300枚で1本のBCGになることを知り、せっせと集めてキリスト教海外医療協力会に送ったことなどもあり、行ってみたい国でした。

今回は、フェアトレードの生産者を訪ねる旅とのことで、織物にも興味があり、ネパールの女性たちが織物や編み物を通して、生活向上や自立を目指している生産現場を直接見ることができることにも興味を感じました。

ツアーの感想:初めての海外旅行なので、出発するまでは、不安もありましたが、出発してしまえば、すべては物珍しく、楽しかったです。少人数でいい人達ばかりだったのが、好運でした。若い人達の経験豊かさに驚きましたが、初体験のおばさん(私)にもやさしく教えてくれたり、助けてくれて、本当にありがとうございました。

又、同年代の坂本さんがいて下さり、とても心強く最初から最後までお世話になってしまいました。ありがとうございました。

シャプラニールの小松さん、現地スタッフの藤崎さんのお人柄と案内役のすばらしさ、語学力と知識の豊かさに驚かされました。

ネパールの人達の生活向上への熱心な思い、子供たちに教育を受けさせたいという思い、みんなで助け合って地域を良くしたいという思いを感じることができました。

シャプラニールの活動がネパールに根付き、現地のNGOと共に大きく育っているのがわかりました。現地のNGOが力を付け、いろんな意味で対等な関係になればいいですね。又、政情が安定して、住みやすい国になり、いつでも行きたい時に行ける国であって欲しいと願います。