スタディーツアー参加者のブログ -2ページ目

WSDP(2)

シャプラニール2007年夏スタディツアー

WSDPP(The Women’s Skill Development Project Pokhara)訪問

2007822()AM

ポカラ、ネパール

文責:村野

WSDPP(The Women’s Skill Development Project Pokhara)とは?

※政府の技術研修プログラムがNGOとして独立したネパール、ポカラにあるクラフト生産団体

変遷

1975年:まだNGOの概念が無かった時代、市から場所を譲り受けて、村の女性達のための研修所としてスタート。

研修内容:縫い物、織物、保健衛生、改良かまどの知識等

1979年:現在の代表である、ラムカリ・カドカさんが責任者に就任。当時の理事会メンバーはラムカリさん以外全員政府関係者だった。

1990年:国の民主化により、政府から独立した運営が可能になる。

1989年:仕事を与える場所としての機能を持つ

1990年:NGOとしての活動を開始。それまでは地元の女性が集まって仕事をする、インフォーマルな場所であった。

売上げ:10,000ルピー/

顧客:ネパール人をターゲット。受けず、観光客をターゲットにシフト

2002年:各国の手工芸品が集まるバングラデシュでの展示会に出展、輸出が伸び始める。

基本情報

売上げ:1,000万ルピー/年 (①イタリア ②イギリス ③日本 ④オーストラリア)

生産者数:250 (内事務所勤務者15)

        210名⇒継続的に勤務

         40 ⇒イレギュラー勤務(出産等の理由で)

理事会メンバー

外部メンバー5名:カスキ郡地域開発局2名、女性開発局1名、商工会議所1名、郡の行政から1

内部メンバー5名:5名のWSDPPメンバー  身近な声を吸い上げるため、まんべんなく選出。(2年に一度)

給与体制

1. 月給 ⇒ 事務所勤務者

2. 日給 ⇒ 染色(100ルピー~)、急ぎのサンプル作成etc

3. ピースレート ⇒ 織物(一反ベース)

(最低80ルピー/日を全員が稼げるように仕事を分配)

生産者の構成

生産者の選別

以前は手紙などで呼びかけて女性を集めていたが、現在はWSDPPが知られる存在になり、逆に対象者を選ぶのが大変という悩みもある。

 多くは自分達で生活を支える女性達をメインにしている。

(夫と死別したり両親がいないシングル女性達)

年齢

18歳~45歳を目安としている

(以前は50歳を目安にしていたが、仕事がきつく、習得が難しいという理由で45歳に下げた。)

その他

リーダーは技術が優れている人、真面目な人を内部から選出

納期管理、品質管理を徹底し、慈善活動としてではなく、買う人が満足するビジネスとして成り立つ仕事をするよう心がけ、生産者にもそれを教えている。

生産者にどういう人が製品を買うのか、どう売られているのか、を生産者に伝え、生産者の意識・モチベーションを高めるようにしている。

WSDP

WSDP生産者訪問報告

坂本和代

 ポカラ市内から車で10分のバサパタンという、3年前にできた支部で織物の行程だけ教え、その生産者をトレーニングする場所を尋ねました。広い公園の一角にあり女性グループ30人が、沢山の花束と笑顔で我々を出迎えてくれました。地元の主導のせいか、みんなイキイキしていたのには正直びっくり。

 講師のスーリヤさんから話を聞きました。織物のトレーニングを3ヶ月終了したら、今度は使用期間を設け様子をみて、使い者になれば名簿に載せお金が支払われる対象となる。ポカラは海外に行って仕事するしかないため、このバサパタン支部まで歩いて1時間以上かかって糸を貰い、その時新しいデザインを教えてもらったりしながら、持ち帰って織物にしてまた持っていく仕事は、家にいながら出来るので良いと。

 家で仕事するのにミシン(8000ルピー)をローンで借りて自分の物にする。今はウールか綿が編み易いけど将来シルクに挑戦するそうです。多分、利幅が多いのではと思いました。 

 わりと近くで実際に織物の仕事している3人の家にお邪魔しました。

一人目は、狭く暗い家で大家族。息子はインドに出稼ぎ。踊りの上手い娘がいる母の仕事として。

二人目は、明るく手入れがしてある庭があり、コザッパリしている家の中には大きなテレビ、オーディオ。稼いだお金は、貯金、食事、学費、薬代にしている27歳、25歳の姉妹の4、5年前からの仕事として。

三人目は、暗く狭い2階の一部屋で12歳の息子とサウジアラビアに出稼ぎの夫をもつ妻の仕事として。

 共通点が見えてきた。

 1、男(父親、夫、兄弟)は不在で外国に。それも用兵が多い。(これは何を意味しているのか?)

 2、毎日の生活費は女手で。(男が何年かしてまとまったお金を作って帰りすぐまた外国へ)

 3、見た目にはそんなに貧しい感じがしない。(家、服、などまあまあであるがボロボロでなくTVもある)

 4、自分達が作っている織物が次に、どんな形になるのか、いつ何処で誰がどんな時使う物になるのか知ら

   ない。勿論日本という国さえ。(ちょっとでもいいから教えてあげて!)

 5、すばらしい豊かな笑顔。(幸せの素と分かっているのに出し惜しみする今の私達) 

 6、この仕事が好き。一生懸命している。(職業の選択肢がないのもありかな)

それぞれおかれた境遇が違うにせよ、この織物に携わっている彼女達から、多くのことを学び取ることができました。村の中に入り実際にこの目で見て、今まで聞いて想像していたこととの違いをしっかり認識し、日本からの支援のありかたを考えて行かなくてはと思いました。

FTG Nepal(2)

【リポート】

 カトマンズにあるFair Trade Group Nepal(FTG Nepal)のオフィスで事務局長のチャンドラさんに話を伺った。

 FTG Nepalはネパールで活動中の生産団体のネットワークであり、その役割は各団体への各種サポートである。具体的には、小さな生産者たちはつくったものを市場にのせることが難しいためマーケティングのサポートをする、技術向上のためのトレーニングのサポートをする、ワークショップのサポートをするといったことである。さらにIFATのメンバーとして10の基準を守ると同時に、メンバーに対しモニタリングと評価を行う。

チャンドラさんからIFATFair Tradeの基準と照らし合わせながらいくつか付け加えて説明があった。

まず、事業の透明性と説明責任についてだが、これは財務諸表、生産プロセス、生産者への支払い額等「すべて」が対象になる。そのためビジネスセクターから取引の要請はあるものの、これがネックとなり踏み込めないということがある。

次に「適正な対価」が何かということ。これは生産者側のみの要求だけを考慮するのではなく、生産者・消費者の双方が納得する価格を指す。また、同じ仕事をする場合に男女差があってはならず、支払は迅速でなければならない。この点に関してはフォーマルセクター/インフォーマルセクターの違い、地域性などの個別的な事情があり定義が難しい。そこで2006年、FTG Nepalがネパールにおいて何が適正かを提示するためaction aidのサポートのもと調査を行った。インフレを考慮しながら各地域に分割しセクター別に収入状況を調査し、政府の最低賃金と比較したものだ。各団体に対しては福利向上に貢献しているかが問われる。この結果は数ヶ月後に関係団体へレポートされた。

現在IFATには60カ国、4000Fair Trade組織、100万人の生産者が加盟している。FTG Nepalはそのうちの一団体であり、FTG Nepal自体は14の生産団体、7000人強が加盟していることになる。その14団体を合わせるとネパール全75郡のうち40郡で活動があり、生産品の70%が海外向けである。また、どの団体も前年比15-20%の売り上げUPを果たしている。

サナハスタカラなどのFair Trade Nepalメンバー団体のいくつかは個別にもIFATに加盟しているが、未加盟の生産団体もある。その理由は生産品売上0.22%をIFATに収めなければならないというハードルがクリアできないということにあるという。

チャンドラさんはFair Tradeを「公正な社会を実現させるための世界的な運動」であり「経済的に不利な状況にある生産者に公正な機会を提供するもの」であると位置付けており、生産者を運動の重要な一翼を担う人たちだと認識する。ここで生産者は最優先されるが、あくまでビジネスであるということも強調した。

最後にFTG Nepalの成功の要因と今後の課題について、成功の要因は、①社会的要請を満たすビジネス、Social businessであること。チャリティではなくビジネスであり、そこにはプロ意識があること。クオリティを二の次にしないこと。②買い手とともに活動していること。③ネットワークの強さがあげられる。

また、今後の課題としては❶“Fair Trade”のレベルの差が国、団体によってあること。❷材料は輸入が多く、“Fair Trade”として認められていないものもあること。❸技術向上の余地がまだあること。❹政府からの便宜(支援)獲得が実現していないこと。❺世界的基準をつくらなければいけないものがあることがあるという。

現状としては各団体の力が強くなってきており、今後は農産物の可能性がある。また、タイのグループと協力をしており、途上国同士で学びあう方向へ向かっている。さらに、他国との関わりでいえば韓国・台湾との取引が始まりそうだということも特筆すべきだろう。

 最後にチャンドラさんは日本のネットワークへも期待もしていると付け加えた。現時点で日本でネットワークとして機能しているものはない。日本はFair Tradeにおいても消費国であり生産者を多く抱えるネパールとは事情が大きく異なる。何を目的として日本でネットワークを形成するかという点が重要になるだろう。



【参考】

FTG Nepalホームページ:http://www.fairtradegroupnepal.org/index.html

FTG Nepal各生産団体・プロダクツ紹介:http://www.fairtradegroupnepal.org/member/member.htm  

IFATホームページ(The 10 Standards for Fair Trade):

http://www.ifat.org/index.php?option=com_content&task=view&id=2&Itemid=14