健人side
しばらく個人での仕事が忙しく、メンバーとも顔を合わせない日々が続いていた
帰宅する前に、事務所の食堂で食事をしていたら
「おっ、久しぶり!おめでとさん!」と
菊池がニヤッと笑いながら、俺の肩を叩き横に座った
「何がめでてぇんだよ!お前の頭か?」
半分疲れていてイラッとしたのもあった
すると菊池が
「おや中島ァ、お前もしかして聞いてねぇの?
俺、聡から聞いてびっくりしたんだけど?
佐藤、妊娠3ヶ月だってよ」
持っていたスプーンが床に転がった
「妊娠…?佐藤がか?ほんとか?」
横にいる菊池の両肩に手を置いて問いただす
「間違いねぇよ、聡が一緒に病院に行ったから。確か、佐藤の誕生日の前の日だったか…」
俺は菊池の言葉を最後まで聞く前に走り出していた
佐藤…バカヤロウ
そんな大切な事、なんで言ってくれねぇんだよ…
息を切らしながら、佐藤の家のインターホンを押すと
ガチャッとドアが開いた
「健人くん…」
佐藤は何日も寝てないみたいに目の下に真っ黒なクマを作り、顔色が悪い
「バカ!!お前、お腹に俺の子がいるんだぞ!もっとカラダ労れよ!ちゃんと食事とれてるのか?寝てねぇの?」
下を向いてた佐藤は、ワッと泣き出すと俺にしがみついてきた
「健人くん…怖いの。自分に自信がもてなくて、ちゃんと産めるのか不安なの…」
ステージ上では、キラキラ輝くアイドルもいざプライベートとなると、か弱い1人の女性になるんだ