わたしの意識的な覚醒は2005年、33歳のときでした。

覚醒はある日突然のように思えたけど
それは、ゆっくりと準備してきて訪れている。

わたしにとって覚醒は
正直、生易しいものではありませんでした。 

それまでの人生の苦しみや悲しみとは
まったく違う感覚。

このことは一部の方に
お話会やメンバーサイトで公開してきましたが

ようやく
わたしの中で整理がついたので
ここに少しずつ記録を残しておきます。



覚醒にむかったきっかけは
1998年、姉の死でした。

わたしは26歳。
姉は30歳。

姉は臨月を迎えた状態で
朝、駅まで旦那さんを見送りそのまま
都会の駅のひっそりとした場所で突然死した。

すっかり変わり果てた姿で姉はその日の夕方発見された。


姉は優秀な人だった。
いつも明るく、
頼みごとをすれば
「まかせとていて!」と即返事をくれ
え~とか言ったことがない。

大学も主席で卒業し
大企業に就職、成績もトップ。
幸せな結婚をして
念願の赤ちゃんとの生活が始まろうとしている
そんな時だった。
 


娘(姉)を亡くした親の嘆きは強烈だった。

わたしも二人の娘がいたので
その嘆きは痛みとして伝わってきた。

そのときのパートナーと
何があっても受け容れて
生きていくことを話した。


そのとき二人の娘は5歳と6歳。

そして、わたしの子育ては
わたしがいついなくなっても二人が生きられるように
「生きること」を教える子育てになった。
その子育ては厳しいものだったと思う。


姉の死をきっかけに家族はそれぞれに自分の道を歩み始めた。
残りの人生の時間をどこへ使うのか。

そのことに全員が向き合った。


それまでの私は
何があってもどこか希望に満ちていたと思う。

まあ、ほんとひどい人生に溺れてきたけど
いつもどこかに希望があった。

明日は来ると思っていた。
時間があった。


姉の死は
明日はこないことがあることを教えてくれた。

その後、今度は叔父が焼身自殺をし
大きな切り替わりが訪れていることだけは
ひしひしと感じていました。


わたしは、そのころ音楽活動をしていて
残りの時間を歌うことに集中することに決めました。

ちょうど、そのとき世界のヴォイスプレイヤー
バルーンメソッドの創始者である荒井皆子先生に出逢い
ボイストレーニングを受けることに。

そして、マーチンのギターを購入。
我が家の家財道具で一番高価な買い物。
大きな決意でした。

覚醒の秒読みスイッチがこのとき入ったのだと思う。


生活もいつ人生が終わってもいいように
整理していくようになりました。

同時に「食」も変化し始めていました。
これについてはまた。



家事、子育て、会社勤め、音楽の合間
私は姉の「死」の意味を探していました。


それまでの人生は「生きる意味」を問う時間だったのが
「死の意味」を問う時間へチェンジでした。

図書館の「宗教」のコーナーにある本を
片っ端から読んで「死の意味」を探した。

そのコーナーのすべての本を読んでも
わたしに姉の死を納得させる言葉はなく
落胆したところ、隣に配置していた「旅」のコーナーに
藤原新也さんの『西蔵放浪』が目に入り、手に取ってみた。


そこには、リアルな「生」が漲っていて
面白くて一気に読んだ。

それから藤原新也さんの本を片っ端から
読むようになった。

そして、わたしの住んでいる駒ケ根美術館に
藤原さんの作品が展示されていることを知り
見に行ったとき、ある言葉に出会ったのです。



『死というものは、なしくずしにヒトに訪れるものではなく、
死が訪れたその最期のときの何時かの瞬間を、
ヒトは決断し、選び取るのです。だから、
生きている間に、あなたが死ぬときのための決断力を
やしなっておきなさい』
(メメントモリ)


わたしは、その言葉の前で立ち尽くした。
それは、私が探していた言葉だった。

ああ、そうか、姉は自分で決意して逝ったんだ。
それなら納得いく。

姉は確かに生前、迷うことがなかった。
頼まれごとも嫌だといったことがない。
いつも気持ち良く引き受けていた。
だからといって、いい人を演じているような気配はなく
心からの決断力と行動力があった。

死が訪れたその瞬間も姉は
「まかせといて!」と逝ったのだろう。

わたしは、ようやく姉の死と和解した。
姉の死から3年はすぎていた。

ここまでが序章。

そこから、わたしの覚醒の第一章が始まった。



◇◇◇
2014年、藤原新也さんとお会いして
一緒に山を歩く機会をいただき
わたしの持っていた『メメント・モリ』に
藤原さんのサインが入りました。
 
なんというか思った通りかっこいい人だった。
藤原さんも太陽星座うお座。

魂が揺さぶられて当然なのかも。

 

そして、あの言葉に思うのです。

自分に死の瞬間が訪れたら
きっと「ちょっと待って!!!」というに違いないと。(笑)