ペットの生体販売で儲ける方法    まずは商品の仕入れです。「ブリーダーから直接仕入れる」という方法もありますが、 子犬を安く大量に仕入れて大量に売りさばきたいのなら、「ペットの競り市」が便利です。 子犬の競り市 築地市場と同様こうした競り市では、中間業者が少ない分、子犬の仕入れ値を安く抑えることができます。  イギリスのように繁殖業者は免許制ではないので、売りに出されている子犬の中にはパピーミル(繁殖犬をたくさんのケージに閉じ込め、劣悪な環境下で子犬を大量生産するブリーダー)の元で育ったものもいるでしょう。しかし、 利益を追求する業者にとっては安く大量に仕入れることの方が重要なので、どこで生まれたかという点は無視しましょう。ちなみに競り市の会場ではベルトコンベヤーに子犬が乗せられて流れてきますので、予算の範囲内でなるべく安く競り落として下さい。  余談ですが子犬がパピーミル由来の場合、近親交配で子犬を大量繁殖した結果、遺伝病の発現確率が高い傾向にあります。しかし遺伝病があったとしても症状が出るのは通常成犬になってからなので、一度売ってしまえば幾らでも言い訳はできます。 ①とにかく血統書を付ける 血統書 素人は犬の「血統書」を宝石の「鑑定書」と同じものだと勘違いしている人がほとんどです。ですから”血統書付き”という誘い文句によって付加価値を生み出すことができ、結果として多少値段を高く設定しても「まぁ血統書がついているからしょうがないか・・・」と、何の知識もないのに勝手に納得し、高い料金を払ってくれます。 何はなくとも”血統書”です。 ②かわいい子犬のうちに売り切る ショップの子犬 子犬の容姿は非常にかわいく、母性本能をくすぐりやすいものです。 犬が大きくなりすぎないうちに売り切ることが鉄則です。 イギリスのように「子犬の展示は禁止!」などという法規制がないので、明るいショーケースになるべくかわいらしい子犬を展示し、一目ぼれによる購入パターンを増やしましょう。そうすれば確実に売り上げが上がります。しかし逆に、子犬が生後2ヶ月を過ぎてしまうと、途端に売れ行きが悪くなり、在庫になる危険性が高くなりますので経営者としては注意が必要です(セール価格で売るなど)。  ちなみに一目ぼれで犬を飼うような衝動的な飼い主は、はっきり言って飼育に関して無知なことがほとんどです。しかしイギリスと違って日本では、飼い主希望者の経済状況や知識レベルが厳密に問われることはありません。ですから一度売ってしまえばこっちのもの。 衝動的に買う方が悪いのですのですから、以後は無視して構いません。「こんな無知な飼い主にもらわれたら、この子犬は幸せになれないだろうなぁ・・・」などという甘っちょろい感傷は、商売する上では絶対禁物です。  また子犬がまだ小さいうちに販売しようとすると、犬の性格形成に重要ないわゆる社会化期(2~12週)とバッティングしますが、そんな悠長なことを言っていたら競合店に売り上げを取られてしまいます。 子犬の性格やその後の飼い主の苦労などは放置し、心を鬼にして商売に徹しましょう。 ③獣医を抱き込もう!  獣医を抱きこむことで病気等を隠蔽すれば、問題のある子犬でも売れるので在庫を出さなくて済みます。 こちらの言いなりになってくれるお抱えの獣医を作りましょう。   偽装社長 病気の隠蔽に関して一般人は、何ともありがたいことに「まさかそこまではしないでしょ?!」と思い込んでいるケースが多いです。世間では牛肉に豚肉や鶏肉をまぜて偽装表示して売ったり、ブランド米にクズ米を混入して偽装表示して売られているのにもかかわらず、動物の生体販売には無関係な話だと思っています。  この妄信をうまいこと利用すれば、 多少の寄生虫や病気があっても「健康優良児!」とラベルを貼って売り切ってしまうことだってできます。
日本とイギリスのペット事情~犬を始めとするペットの繁殖について
イギリスでは「犬繁殖法」(1973)、及び「改正犬繁殖法」(1999)により

* 全ての繁殖業者の地方自治体への登録が義務化
* 繁殖・取引の記録保管が義務化
* 犬が1歳になるまで交配はしてはならない
* 犬は生涯6回までしか出産はさせてはならない
* 一度出産すると、12ヶ月経たないと次の出産はしてはならない

 日本の繁殖業者は「届出制」です。一定基準を満たさない、いわゆる「パピーミル」のような劣悪繁殖業者も存在します。繁殖犬を檻に閉じ込めて、 強引に一年に二回出産させることも可能です。そうした悪徳業者がイギリスなどにもいないわけではありませんが、法規制や罰則が緩い分、日本の方が潜伏しや すいでしょう。

日本とイギリスのペット事情~犬を始めとするペットの販売
イギリスでは「ペット動物法」により

* 仔犬を狭いゲージやショーケースに入れて展示することの禁止
* 公共の場でのペット販売を全面的に禁止
* 青空市場(ストリートマーケット)でのペット販売禁止
* ペットショップの免許制
* 免許を持たない販売業者へ仔犬を転売することの禁止
* 12歳以下の子供に販売することの禁止

 日本では、ものの見事に全てが容認されています。深夜に明るいショーケースで展示される子犬もいますし、ペットの移動販売もあります。ペットショップは届出制ですし、客層の年齢は問われません。

日本とイギリスのペット事情~犬を始めとするペットの購入
イギリスでは・・・

* イギリス王室御用達の高級百貨店のハロッズのみにペットショップがあり、イギリス住居者のみ購入可能。ただし経済力や生活環境に関する厳正な審査に通過しないと購入不可。
* ライセンスを持たない販売業者から転売された仔犬を購入することは禁止
* 現状では、ショップや病院でブリーダーとの交渉による「完全予約制」という形態が多い。なおかつブリーダー本人が、飼い主希望者に対して面接を行い、更に経済状況調査、犬の飼育に関する知識度テストなどがあり、クリアした人だけに販売するという徹底ぶり。

 日本ではブリーダー、ペットショップ、デパートの生体販売部門、移動販売所による青空市場、ネット通販など様々な販路で購入が可能です。売り手 は、飼い主の経済状況や知識レベルなどに細かくこだわっていたら全く商売など成り立ちませんので、飼い主のレベルが低くても、比較的簡単に購入することが 出来ます。

日本とイギリスのペット事情~犬を始めとするペットの飼育
イギリスでは・・・

* イギリス・ドイツでは、保護施設の里親制度を利用して犬を飼い始めることが多い。ただし、飼い主希望者は厳正な審査を通過しなければ里親にはなれない。
* 「動物保護法」により家庭動物や飼養動物の適切な世話を怠ったものは起訴が可能。
* 「動物福祉法」により、飼い主は飼養する動物の必要がすべて満たされることを確実にしなければいけない責任を負う。


日本とイギリスのペット事情~犬を始めとするペットの保護・愛護

イギリスの犬保護施設~ バタシー(Battersea)
 この施設では、スタッフが交代で勤務しており、犬を保護・収容し、里親捜しからその引渡しまで行っています。 さらに、里親の資格には厳しい基準が設けられており、「ホームビジター」と呼ばれるチームが家庭訪問や面接を行い、飼い主の審査を行います。
 また、この保護施設では、攻撃性のある犬を人になつかせる「リフォーミング」も行っています。

王立動物虐待防止協会~ RSPCA
 RSPCAとはRoyal Society for the Prevention of Cruelty to Animalsの略であり、直訳すると「動物虐待防止の為の王立組織」のことです。
 1824年に世界に先駆けて設立された団体で、国内に195の支部を持ち、アニマル・センターやアニマル・クリニックの運営や募金集め、里親探しなどを行っているほか、専門の訓練を受けた300人以上のインスペクター(捜査官)を擁しています。
 RSPCAでは動物虐待などについての通報も受け付けており、一般市民から通報が寄せられると、それに対しインスペクターが警察官とともに現場へ出動し、改善指導を行うこともできます。また、場合によっては虐待者を裁判にかけるというシステムも整っています。


 日本では、一部を除き、ほぼ全ての都道府県にいわゆる「動物愛護センター(保健所)」があります。里親募集と殺処分数減少に力を入れている熊本 動物愛護センターのような殊勝なセンターもありますが、やはり「捨て犬・捨て猫の殺処分」という仕事をメインで行っている所が、いまだに多いというのが現 状です。
 動物虐待に関しては、最寄の交番や警察署、あるいは各地方自治体が任命する動物愛護担当者に通報するという手立てがありますが、イギリスほど法律が整備されていませんので、虐待の再発をどの程度防止できるのかはわかりません。
売れ残った犬は動物実験でも殺される? 野放しの実態は闇の中

売れ残りの犬たちの末路としてもうひとつ注目するべきなのが「動物実験」だ。この記事の冒頭で紹介した『売れ残り動物の取扱い』のアンケートで 「動物業者に譲渡・販売した」という回答がある。この「動物業者」の中には実験施設に動物を売る業者が含まれている可能性が高い。始めから実験用の動物と して繁殖、飼育されて、感染症などの心配がない健康な犬は、通常数十万円はする。ところが「動物実験を行っている施設の情報を調べると、一頭2万円とか3 万円で仕入れているケースがある」と野上さんはいう。

「動物実験は必要悪という意見もありますが、正確な年齢や病歴もわからない犬を使った実験でちゃんとしたデータが得られるでしょうか。かつては保 健所などから動物実験に大量の犬や猫が払い下げられていました。当時、研究者から聞いた話では、保健所から来る犬でまともに実験に使えるのは10頭に1頭 ほどということでした」(野上さん)

何よりも問題なのは動物実験の実態があまりにも不透明なこと。日本では動物実験についてほとんど何も法的な規制がない。「動物実験をする施設に登 録も許可も必要ないのは先進国で日本だけです。動物実験施設に動物が入るのも出るのも闇の中。ペットショップなどの動物取扱業者は登録が必要なのに、動物 実験施設が除外されているのは意味不明です」(野上さん)というのが実情なのだ。

『地球生物会議 ALIVE』とともに動物実験廃止を呼びかけている『AVA-net』の資料によると、最も少なくみても日本では毎年1000万匹以上の動物が実験のために命を落とし、5000億円の税金が動物実験を含むライフサイエンスの研究に使われているという。

実験そのものの情報が公開されないばかりでなく、実験施設に動物を供給する業界の構造も不透明。反対運動などの成果で、最近は保健所などから実験 施設への動物の提供はなくなったようだ。でも、安価な実験動物へのニーズを満たすため、ペットショップの売れ残りを実験施設に流すブローカーなどが暗躍す るルートがどこかに存在しているらしい。いずれにしても、繁殖や殺処分の実態と同様に、現状は闇に包まれていることが悩ましい。

あまりにも不幸な犬をなくすため、何をすればいいのだろう?


野上さんによると、日本のペット業界の現状は3つの大きな問題を抱えている。まず『過剰繁殖』。たとえばドイツなどでは、母犬に出産させるのは1 年に1回、5回までという決まりがあるが、日本には何も規制がない。ブリーダーは流行の犬種が売れるうちにできるだけたくさん子どもを産ませようとして、 母体がボロボロになってしまうのだ。シベリアンハスキーやゴールデンレトリバー、ミニチュアダックスなど、犬種の流行が一段落した後は、保健所にその犬種 があふれるという。

次に『近親交配』の問題だ。2ページでも紹介したように、モラルの低い過剰な繁殖のなかでは当然のように近親交配が増え、奇形や遺伝的な病を抱え た子犬が生まれてしまう。そうとは知らずペットショップで買ってきた犬が近親交配による問題を抱えていたら、飼い主が行政に持ち込んで、里親も見つから ず、殺すことになってしまうことが多いのだ。

さらに『劣悪な繁殖施設』の問題もある。民家やビルの一室にケージを並べ、運動もさせずにひたすら繁殖させるようなケースは珍しくない。ペットショップの犬たちは、虐待によって大量生産されているのが現状ともいえる。

こうした問題を減らすために「繁殖・販売業者は、試験を受けて合格することが条件の免許制にするべき」と野上さんは指摘する。ヨーロッパなどのブ リーダーはライセンスが必要で、犬種を健全に維持するためのプロフェッショナル。でも、日本では動物についての知識も浅いまま、ホームブリーダーとして繁 殖に手を出す人も多いのが現状だ。

もちろん、悪いのはブリーダーや展示販売をするペットショップだけじゃない。いくら業者への規制を強めても、展示販売されている子犬を「かわいい!」と衝動買いしたり、飽きたといって保健所に持ち込むことを繰り返す飼い主がいる限り、根本的な問題は解決しない。

「無理な繁殖と劣悪な展示販売の弊害で問題を抱えた動物を生み出すペット業界の現状は、動物保護だけではなく消費者保護の意味でも問題があります。感染症や遺伝病のリスクが高い方法で犬を販売・繁殖する業者には、瑕疵担保責任が当然に問われます」(野上さん)

市民の意識が高いヨーロッパでは、犬を飼いたいと思った人はまずアニマルシェルターに行って里親になるのが一般的。日本でも、たとえば「行政の動 物愛護センターにアニマルシェルターとしての機能を強化して、犬はそこから手に入れるというシステムを確立することも必要」(野上さん)といえる。

ペットショップで売れ残った犬が保健所で殺処分されたり、実験動物として殺されることは、誰もが「かわいそう」と思うはず。でも、犬たちを殺しているのは、ほかならぬボクらの身勝手な愛情だと知っておく必要がある。