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ペットショップで売れ残った犬は どこへ消えていくのだろうか?

街のペットショップには子犬が並んでいる。いつも、子犬が並んでいる。考えてみれば不思議なことだ。生き物だから子犬は育つ。売れないまま成長し た子犬は、いったいどこに消えてしまうのだろう。子犬がぬいぐるみのように愛らしいのはほんの数ヶ月間のはず。数万円、なかには数十万円もする高価な子犬 が、短期間で飛ぶように売れていくのだろうか。

環境省の動物愛護管理室に尋ねてみると、今年『売れ残り動物の取扱い』について動物取扱業者へのアンケートを実施したという。まずは、その結果を見てみよう。

当然といえば当然の結果だろうが、自ら「殺した」と答える業者はいない。「その他」がちょっと怪しいけど、その内訳は「オークション市場 (65.4%)」へ出したり「低価格にて販売(32.7%)」など。でも、2009年12月には尼崎のブリーダーが年間50匹以上を保健所に持ち込んで殺 処分させていたことが大きなニュースになったように、売れ残った犬が殺されている現実は、間違いなく存在しているはずなのだ。

ちょっと昔を思い起こせば「保健所に捕まった野良犬は動物園でライオンのエサになる」なんて噂がまことしやかに流れていた。動物保護活動に取り組 むNPO法人『地球生物会議 ALIVE』代表の野上ふさ子さんは「さすがに今はもう動物園のエサにすることはあり得ないでしょう。もしそんなことが表沙汰になったら社会的にとんでも ないバッシングを受けますから」と言いつつ、さらに深刻な現状について話を聞かせてくれた。

値崩れを防ぐために殺処分される犬の数は少なくない

2009年12月に大きく報道されたニュースとは、尼崎のブリーダーが違法に大量の犬を飼育していて、狂犬病予防法違反などの罪で摘発されたも の。最も多い時期には500頭近い犬が住宅街の民家で飼育されていたという。市の保健所がこの業者から年間約50頭の犬を5年にわたり引き取って殺処分し ていたことも問題視された。そもそも、この事件が明るみに出たのも、市民からの相談をきっかけに『地球生物会議 ALIVE』が尼崎市に犬引き取りの情報開示請求をしたことがきっかけだった。

「この業者が保健所で犬を処分しているのではないかという情報が寄せられて、尼崎市に情報開示請求してみると、明らかに不自然なケースがいくつも 見つかりました。同じ日に同じ犬種を何十頭も引き取っている。繁殖業者が不要になった犬を処分しているとしか考えられません」(野上さん)

ブリーダーなどの業者が保健所に犬を持ち込んで処分するのは珍しいことではない。業者からの犬や猫の「引き取りをしない」、あるいは「原則は引き 取りしない」という自治体が多いものの、引き取るときに業者かどうかの確認を行っている自治体は半数程度。実質、業者はやりたい放題というのが現状だ。

「売れ残った犬を安く売ってしまうと、犬種全体のブランド価値が下がってしまいます。とくにこの尼崎のケースでは、もともと高価な犬種だったの で、業者が値崩れを恐れて殺していたわけです。尼崎市の引き取りは有料ですが、少なからず税金も使われています。つまり、業者の在庫処分を自治体が税金を 使って行っていたことになりますよね」(野上さん)

そもそも「犬や猫を大量生産する日本のペット業界の現状が大きな問題」と野上さんは指摘する。ペットショップでの売れ残りがうんぬん以前に「近親 交配や無理な繁殖をするせいで、奇形など売り物にならない個体がいっぱい産まれてしまいます。外見上は正常でも、遺伝的な病気や障害を抱えていてトラブル になるケースも多い」。

殺されているのは売れ残った「不良在庫」の子犬だけじゃない。無茶な繁殖のせいで産まれる奇形の犬は「欠陥商品」として処分される。出産を繰り返 してボロボロになった母犬も処分の対象になる。殺す方法もいろいろだ。水やエサを与えずに放置して餓死させるケースもある。ペットショップの裏側で餓死さ せられて、生ゴミとして捨てられる子犬もいるだろう。費用はかかるが、獣医師に依頼して安楽死させる方法もある。とはいえ、ペットショップやブリーダーが どんな方法でどのくらいの犬や猫を殺しているのかという実情は、なんとも深い闇に包まれているのが現実だ。
環境省が作成した「ペット動物流通販売実態調査報告書」によれば、
2001年のペットの繁殖業者は約1,300軒、そこでは推定15万頭の犬猫が「生産」されたことになっています.
このうち流通に乗るのは97,800頭
うち消費者,飼い主にペットとして届くのは77,000頭でした。
半数近くの犬猫は、どこに行ったのでしょう。

犬を例にとり見てみましょう。

犬の流通の過程は、
繁殖業者から競り市・卸業者からペットショップ
そして飼い主です。
専業繁殖者とペットショップ経営兼繁殖業者は販売用の犬を会員制の競り市に出します。

繁殖業者からペットショップに並ぶまで、中間マージンが介在します。

競り市は AERA-netに その様子が、書かれています。
http://www.aera-net.jp/summary/100523_001653.html

「犬オークションの現場」
追及─ペット流通のブラックボックス

建物の中に入ると途端に、競り人の声がマイクを通じて大音量で聞こえてくる。
その合間を縫うように、子犬や子猫のか細い鳴き声が耳に届く。
関東地方の、国道沿いに立つペットオークション会場。
プレハブ造りのこの会場で毎週、子犬や子猫の競りが行われている。
「プードル、メスでぇす」
「柴犬、オスでぇす」

競り人が独特の調子で一匹ずつ犬種名、性別などを読み上げる。
するとビニール製の手袋をはめた男性が子犬を片手で高く持ち上げ、中央の檻まで運んでくる。
途中、骨格や関節を確認するためか素手で子犬をさわるバイヤーもいる。

競り落とされた子犬は、すぐに小さなカゴや箱に詰め込まれ、バイヤーの前に積まれていく。
目の前に小山のようにカゴを積んでいくのは、誰もが知っている大手ペットショップチェーンのバイヤーたちだ。

こうして、毎週300~500匹の子犬がこのオークションから関東各地のペットショップへと流通していく。

2008年度、全国の地方自治体に引き取られた犬は11万3488匹に上り、うち8万2464匹が殺された。
本誌ではこれまで、大量の捨て犬を生み出す犬の流通システムの「闇」を暴いてきた。

流通システムの根幹を成しているのが、ペットオークションだ。
ペットショップ(小売業者)は、その仕入れ先のほとんどをオークションに依存している。
ブリーダー(生産業者)にしても、出荷の5割以上がオークション頼り。
推計だが年間約35万匹の子犬が、オークションを介して市場に流通している。
つまり現在の犬の流通は、オークションなしには成り立たなくなっているのだーー。


環境省が行ったペット動物流通販売実態調査報告書では、
仕入れから販売までの平均日数は26日、
いっぽう販売日齢は平均48日。
つまり平均だけだと出荷は、生後24日です。

流通過程で、ペットショップが繁殖業や卸売りを兼ねたり、競り市で子犬を販売したり、
競り市から子犬を仕入れて卸売りをします。

長く複雑な流通な上に、ダンボールやケージに何頭も一緒に詰め込み、
あちこちたらい回しにし、満足な運動もさせない、
こんな犬が病気にかからないほうがおかしいです。

競り市のような犬が集団で集まる場所は、
抵抗力の低い生後間もない犬の感染症の発症確率を高める引き金になってしまいます。

そして、競り落とされなかった犬を繁殖業者が自ら処分します。

2008年12月8日号週刊誌『AERA』 に、
犬ビジネスの「闇」流通システムが犬を殺す」という特集が6ページに渡って掲載されました。

http://www.aera-net.jp/summary/081130_000509.html

<初の実態調査>犬ビジネスの闇
二酸化炭素で窒息死の現場ルポ 悪質ペット業者「売れ残り犬」を保健所へ
犬流通ルート解明 年11万匹殺処分
●業者が持ち込む殺処分
●ペット店の悲惨な現実
●行政もつかめない流通
●親離れと犬の問題行動
●商品にしか見えない犬
●殺処分ゼロ熊本の挑戦

『◆業者が持ちこむ殺処分
環境省によると2006年度、全国の地方自治体に収容された犬は14万2110匹。
うち11万2690匹が、新たな飼い主が見つからず、殺処分された。
なぜこれほど多くの犬たちが捨てられ、殺されなければいけないのか。

本誌では、実態をつかむため、
飼い主が行政機関に犬を捨てる際に提出する
「犬の引取申請書」の情報開示請求を主な自治体に行った。
そこから浮かび上がったのは、流通システムにひそむ闇の深さだ。』

◆犬が殺されている

最寄り駅からでも車で15分はかかる、墓地に隣接した土地に、その施設はあった。

中に入ると底冷えがするコンクリートの床。五つに区切られた部屋に、それぞれ十数匹の犬がいた。飼い主に捨てられたり、迷子になったりした犬が収容され、殺処分される施設。部屋の壁は可動式になっている。一番手前の部屋は前日に収容された犬。その一つ奥が前々日に収容された犬。一営業日ごとに壁が動き、犬たちは徐々に奥へと追いやられていく。追い込まれた先に、もう部屋はない。

◆業者が持ちこむ殺処分

環境省によると2006年度、全国の地方自治体に収容された犬は14万2110匹。うち11万2690匹が、新たな飼い主が見つからず、殺処分された。なぜこれほど多くの犬たちが捨てられ、殺されなければいけないのか。

本誌では、実態をつかむため、飼い主が行政機関に犬を捨てる際に提出する「犬の引取申請書」の情報開示請求を主な自治体に行った。そこから浮かび上がったのは、流通システムにひそむ闇の深さだ。

動物保護団体「地球生物会議」の野上ふさ子代表らの協力で分析したところ、ペットショップやブリーダーなど流通業者によると思われる捨て犬は、少なくとも1105匹にのぼった。

野上代表は指摘する。「同じ犬種を数頭まとめて捨てるなど、明らかに業者が持ち込んだとわかる事例が多数ありました。分散して持ち込めば判断は難しいので、今回把握できたのは氷山の一角でしょう」

『ペットショップやブリーダーなど流通業者によると思われる捨て犬は、少なくとも1105匹にのぼった。
例えば 07年10月、群馬での事例。7~9歳の柴犬の雌ばかり5匹が1度に持ち込まれた。
犬は8歳前後で繁殖能力が衰えるため、ブリーダーが「用済み」として捨てたようだ。
また、07年8月、マルチーズの成犬11匹がまとめて、北九州市に持ち込まれた。
いずれも畜犬登録がされておらず、こうしたケースは業者による典型だという。
07年11月、兵庫。ポメラニアン4匹、ダックスフント3匹、チワワ3匹、シーズー2匹・・・純血種ばかり14種27匹が一緒に捨てられた。
同じ兵庫では08年1月、ミニチュアピンシャーの雄4匹、雌6匹も同時に持ち込まれ、
捨てる理由の記入欄には「数をへらす」とあった。』

AERAの記事では、このあと、大手ペット販売チェーンでアルバイトをしていた男性からの聞き取りを紹介しています。
そこには、子犬13匹を段ボールに入れて保健所へ持っていかせた店長の話が書かれています。
「保健所へ持って行った。売れない犬を置いておくより、その分、スペースを空けて新しい犬を入れた方がいい」

◆ペット店の悲惨な現実

都内のIT企業で働く男性(29)は06年夏、大手ペット販売チェーンでアルバイトをしていた。
明るい照明でこぎれいに見える店頭の裏側、そこに子犬が 13匹、段ボールに入れられていた。
皮膚病にかかっていたり、店員が誤って骨折させてしまったりして「商品」にならないと見なされた子犬だった。

ふと気付くと段ボールごと子犬がいなくなっていた。
男性がベテランのアルバイト女性に尋ねると、こんな答えが返ってきたという。
「保健所に持って行った。売れない犬を置いておくより、その分、スペースを空けて新しい犬を入れた方がいい」
日本のペット市場の拡大に伴い、金銭を目的とした、様々な人々がペットビジネスに参入し、業界の質の低下を招いています。

同時に流通販売業者の生産する犬猫の数も増えていきます。
ペットショップの売れ残りは余剰生産の表れです。

大量消費を見込んだ余剰生産、余剰分の投棄は、今後、業界が生産活動の厳格化と縮小を余儀なくされる問題になるかもしれません。