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何から始めようか??

 さて、『旅』から帰ってきてから、まともに部屋に帰ってない俺…。荷物も何もかも整理して、住む家と、仕事を探さねば…。

 東南アジアに買い付け旅行に行ってからというものの、人生が急転した俺。正に転落人生…。

 この年でもの凄い借金と、ほんの一握りの貯金を持って、とりあえず、この街から出る事を決意…。

 こんな前科者を雇ってくれるとは、思わないので、とりあえず北を目指そう…。

 バックパック一つで、駅で電車を待つ…。

 すると…、借金取りの若い衆が来た。

 『これからどこに行くつもりですか??』 などと聞いてくる。

 逃げたかと勘違いしたであろう。

 しかし俺は、『この街じゃ仕事も見つからん。あんた達の借金返すために仕事探しに行くんだよ。』

 すると、何故か電車賃とか言って二万円くれた。 うう…、ちょっと嬉しい…。

 



 
  後に、その二万は貸し付けとなるのだが…。

地獄は始まったばかり…。

 事務所に連れて来られ、フッカフカのソファーに座らされ、イカツイ男達は、起立しながら、ソファーのまわりを囲んでいる。

 そして、テーブルの上に、親分らしい男が、数枚の書類を俺に見せる…。 

 その内容は…。

 『債権譲渡』と書かれた内容。『借用書』と書かれた内容。そして…、金額…。


 とにかく、私が自分の店を出す時に借りたローン会社の名前と、私を訴えた人物の代理弁護士からの損害賠償と、私がタイで捕まった時の『弁護費用請求書』等が、キレイにまとめられて綴られていた…。

 
 額面は…。 『13,652,250円也』

 実家は、私のせいで家も売り、家族は絶縁状態なのに、これでも、金銭を要求するか??
 
 もちろん貯金はゼロ…。

 法外な利息と請求に…、地獄は始まったばかり…。

ホームレス。

 二人組の男は、おもむろに私を車に乗せた。 その車はもちろん、黒塗りの、フルスモで、Vシネマに出ているような、イカツイ車だ…。

 私は後部座席に乗せられた。

 刑事ドラマであるような…後部座席の真ん中に座らされ、両サイドを先ほどの二人組の男に挟まれている…。

 そして、助手席の男が、『今から事務所に行くから。』と言った。 おそらくボス的な奴であろう。

 そして、沈黙のまま、事務所らしき建物の前に止まり、そこで降ろされ、二人組からガッツリ腕を組まれながら、その『事務所』へと連れて来られた…。

第二部〜現実


フルーツメール



 二人組の男は、ニコニコしながら、近付いて来た…。

現実とは…、常に…、非情…。

 実家に帰って来た…。

 …実家の所に帰って来た…。

 ……実家の敷地は…、更地になっていた…。

 ………実家の敷地の更地に、看板が立っていた…。 「売り地」 ××不動産

 俺は、とりあえず、まだ自分の店に戻った…。

 携帯を、店に置いたままだったんで、そこで電話番号を調べる…。もちろん携帯は繋がらない…。店の電話も…。

 近くの公衆電話で、まず、兄貴の携帯に電話した…。

 …電話に出ない…。 何回もかけ直すが、出ない…。間を置いて電話するも…、やはり出ない…。

 …とりあえず、我が店に戻り、立ち退かなければいかないので、荷物を整理しようと、店に戻った…。

 …そして、色々考える時間を持とうと思った…。

 …店に戻った…。

 見慣れないスーツ姿と、派手な柄のシャツを着た男が、店の前にいた…。

 …もちろんお客様ではない…。

 俺の方が、彼らのお客様なのかもしれない……。

店の前…。

 俺が久しぶりに帰って来た故郷…、俺はまず先に、我が店に足を運んだ…。

店の前は…、こんなにも…。

 店のポストに詰め込まれたような郵便物…。そこは、はっきり言って気にならない…。

 店の入り口…。 イタズラか?? ペンキをぶちまけられている。生ゴミも…。

 「出て行け犯罪者!! ×市の恥!! 」…などと罵られた文字…。

 …確かに俺は犯罪者なんだが…、店は賃貸である。不動産屋に話を聞きに行くと…。

「今までの家賃と、塗装料!! 現状復帰代と!! 迷惑料払って出て行け!!!!」

 …心優しい、笑顔が絶えない不動産屋が、こんなにキレたの初めて見た…。

 …っていうか、帰って来て、生活が一変どころか…、こんなに最悪な状況とは思っても見なかった…。

 もちろん、仕事ができる状態ではない程のヒドい有様。…っていうか、出て行かないかんため、仕事、営業などハナから出来るワケないが…。

 実家に戻る…。俺は、絶句してしまった…。

 …確かに、俺はこの国で法律違反をした…。それは確かだ…。…が、しかし…。こんなにもなるような事…、こんなにも誹謗中傷、蔑まれるような事したかね???

 俺は、自分で成功したと思っていた夢。カフェ兼雑貨屋の、運転資金…いや、俺の全財産が…、音を立てて崩れた…。

 …というか、最低最悪な借金を背負うハメになった…。

 

しゃば。

 俺。夢だった雑貨店兼カフェを開業。経営の方は、ボチボチだったが、客に食中毒起こさせ、二ヶ月の営業停止…。その間に海外旅行。旅行先で、二ヶ月の拘留。帰国後、即逮捕、起訴、入獄。…そして、今、五年と言う執行猶予”弁当”を持って解放。

 俺にとっては、ツラく、永かった、”ハコ”での生活…。前回は、一時間といなかった、我が店、我が部屋へと戻る…。

 愕然とした…。俺は、我が店を見て…、ここから、悪夢の現実が始まる…。……。


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ワルの学校、卒業…。

 遂に、遂に!!!! この獄中生活ともおさらばだ!!!

 俺は、本当に嬉しかった…。この環境に、情などない…。当たり前だが、本当に、マレーシアと、ココと、半年近く”ハコ”の中に入っていたので、超嬉しかった…。

 五年間海外に行けないのはツライが…。俺は、晴れて…、自由だ!! …フリーダムッッッ!!!!…と叫びたくなる程の、開放感が、そこにはあった…。

 最後の、荷物を取りに、房へ戻る…。荷物などいらないのだが、とりあえず戻る…。

 
詐欺師が、心配そうに、結果を聞いて来る…。しかし、俺の溢れんばかりの笑顔で、察したに違いない。

 「お疲れ様…。」 詐欺師は、その言葉だけ、言い放った…。

  
  この一言が、今まで聞いた中で、一番身にしみた…。俺は、無意識の内に、詐欺師とガッチリ固いハグをしていた…。

 悪人顔の、新人…というか、ヤクザのおっさんも、見た事のない笑顔で、「お疲れ様。」…と言って来る…。 俺は、ようやく実感した…。この、永い悪夢が終わりを告げるのも…。

 そして、俺は、入所前に預けていた着替えや、荷物を受け取り、何か書類にサインをし、所を出た…。

 俺は、正門まで、振り返らなかった…。何故なら、振り返ると、また戻って来る…という、ジンクスがあるらしく、振り返らず、前へ進んだ…。

 そして、正門を出た…。

 同級生や、親兄弟が、俺の出所の為に、ハデに演出しようと、高級車を横付けして止まってたり、金でやとったのであろう超イイ女を用意してくれたり。


 …といった、派手な出迎えなどもちろんなく、ただ一人で、最寄りのバス停で、帰りのバス停を待った…。

 夕方だった…。その日は、俺の出所を祝うかのごとく、綺麗な、それは、大変美しい夕日が、俺を照らしていた…。

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いざ、判決…。

 裁判用の、囚人服に着替え、いざ法廷に、判決を聞きに行く…。

 最後に言い残す事はないか?…との裁判長の問いかけに、俺はこう答えた…。

 マレーシアで、捕まっていた時に、勝手に自宅にガサ入れして、誰にも迷惑をかけていない、チンケな草ごとぎで、こんな所に入れられて、しかも殺人犯や、凶悪な強盗などと一緒に詰め込むような、こんな日本の司法制度は是非おかしいと思う…地元のTVや新聞にも報じられ、かなり社会的抹殺しようとするこの行為そのものが、大変世の中腐ってる…。

 …と心の中で思いながらも、「もう二度としないように、更正し、親や兄弟に迷惑かけないように、一生懸命頑張ります。」とだけ言った。

 いざ、ジャッジが下る…。

 求刑は、懲役7年…。

 判決は…。

 懲役3年!!

 …執行猶予5年…。

 !!!!

 やった!! 出れる!! 遂に!! 

 
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裁判まで、あと一週間…。

 大型新人とも何とか打ち解け…、今日は、強盗がココから出る…。遂に…、彼も刑期を終えた…。俺がここに来てからずっと一緒の男が、”卒業”した…。何だか物凄く寂しい気がする…。 詐欺師はもっと寂しそうだ…。一番永いからな…。

 荷物をまとめて、出て行く姿…。そして、もう二度とここに帰って来ない事を誓い、俺らは、ガッチリ握手と、ハグをして、見送った…。 

 俺も、来週には、ここにはいない…。判決次第じゃ、違う所に行くかも知れないが…。

 詐欺師がとっても寂しそうだ…。 こんなド悪党と一緒だからな…。

 詐欺師は、裁判が3ヶ月後らしいが、俺は、来週に決まる…。つらかった、地獄のような日々も、来週に終わる…。
 


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