人的被害がもっとも大きい東京湾北部地震の震度分布予想図(東京都提供)
震度7など強い揺れの拡大で死者数増 被害は「木造密集地域」に集中
最大震度が7となった上に震度6強の地域も広がるなど、都内がより強い揺れに見舞われるとした新たな被害想定。東京湾北部地震が午後6時に発生した場合に想定される最大死者数約9700人のうち、揺れによる全壊建物での想定死者数は5378人と、平成18年想定の1737人から大幅に増えた。
東京湾北部地震の新想定(午後6時、風速8メートル)では江戸川、江東、墨田、中央、港、品川、大田の7区のそれぞれ一部で震度7の地区があらわれ、以前の想定では面積比で23区内の約5割だった震度6強の地区が、約7割に拡大した。
全壊建物は都内全域でみれば、耐震化の進行などから前回の約12万7千棟より少ない約11万6千棟となったものの、大田区は1万棟超に増えるなど約半数の市町村で前回より増加する結果に。台東、荒川、墨田、足立の各区などでは、250メートル四方あたり100棟超が全壊する地区が生じることになる。
全壊地区は、重要交通網のJR山手線や環状7号線沿いに集中する「木造住宅密集地域」(木密地域)と重なる。高度経済成長の人口増加にあわせて急増した木造住宅がいまだ7割を超える地域で、倒壊による人的被害に加え、大規模火災の危険性も高い。
火災による建物焼失率は品川区が31・9%(約2万2千棟)、大田区24・0%(約3万2千棟)、目黒区20・8%(約1万1千棟)、墨田区19・7%(約9300棟)などとなった。
一方、想定死者数の最多は1073人の大田区(建物倒壊424人、火災642人など)。木密対策を優先的に進める必要があるとして都が指定した「整備地域」4地域(計約400ヘクタール)に15万人超が集中する場所だ。続く品川区(倒壊252人、火災520人など計779人)、足立区(倒壊400人、火災309人など計712人)など、死者500人超はいずれも木密整備地域がある区に。都内全域の想定死者のうち23区内の建物倒壊による死者が54%、23区内の火災死者が41%を占めた。
木密地域では、沿道の建物が倒れ込むことで細い道路の通行止めが多く起きるとも予測された。救助や救急、消火活動、避難などに支障が生じ、緊急輸送道路の渋滞にもつながるとも指摘している。
倒壊した住宅は災害がれきとなり、復旧を妨げる要因となる。その最大想定量は東日本大震災を大きく上回る約4290万トンで、うち23区だけで4049万トン。岩手、宮城両県で発生したがれきを都は率先して受け入れているが、首都直下地震が起きれば、逆に広域処理を依頼しなければならなくなる可能性もある。
このため都は、木密の耐震化や「不燃化」が被害抑制に直結すると位置づけ、今年1月、燃え広がらない町を目指す「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定。木密地域を通ることで、密集を緩和し「延焼遮断帯」の役目も果たす道路の整備のため、用地上の住民の移転支援などを実施。耐火建築への建て替え時に税減免などを行う「不燃化対策特区」を指定するなどの内容で、都は「従来の対策をさらに加速させる」としている。
〔記事は以上です。Sourced by 産経新聞News〕
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