安藤美姫が金メダルに輝いた今回のフィギュアスケート世界選手権。
3月下旬の東京開催が震災の影響で中止→延期となり、今回のロシア開催はその代替だった。
急遽、世界選手権の代替開催国となったロシアは、わずか1ヶ月の準備期間ながら、日本に対し多大な配慮をしてくれた。
自国開催を楽しみにしていた日本国民がテレビで中継を楽しめるように、自国の午後早い時間に変更してまで、日本のゴールデンタイムに合わせてくれた。
また開会式では被災国日本を応援する演出、そしてフィナーレでは、日本選手を中心に、日の丸を描いて各国の選手が輪になって、日本を励ますパフォーマンス。
選手たちも、随所に日本へのメッセージを伝えた。
アモディオ選手は、減点対象となるボーカル入りの曲を「日本人へのささやかな歌のプレゼント」として敢えて使用。
たくさんの選手や観客が、日本を力付けてくれた。
エキシビションでは日本への祈りを込めた選手もいた。
閉会式ではロシアのフィギュアスケート連盟から、日本への詩のメッセージが送られた。 その全文をネットで見ることができる。
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『日本にささげる詩』
地球がいたみでうめき声を発した
自然の強さに全世界がショックを受け、あらゆるものを水は深海に流した
しかし 何があっても太陽は東から昇る
地震と津波は光には勝てない
我々の神様が
地球の皆の命を保ってくれることを祈る
桜が咲く公園はたくさんあることを
白樺が咲く公園はたくさんあることを
鳥が春の歌を歌えることを
旗が勝利の祝いで挙げられることを祈る
子供たちが大人たちへと願う
友の皆さん 手をつないで
われわれがこの地球において
ひとつの家族になっていることを忘れないでほしい
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この温かいロシアから日本へのメッセージは、ほとんどの日本国民に届いていない。
地上波で独占中継したフジテレビがこのメッセージを放送しなかったからだ。
放送時間の都合ではなく、フジテレビの放送は、19時から始まって、最初の1時間以上はひたすら前日の振り返りVTRとキムヨナの特集。
リアルタイムではなく遅らせて放送した上に、演技順序を入れ換えての放送。
日本選手のエキシビションがようやく放送されたのは、延長放送になってからで、金メダルの安藤美姫選手の涙のレクイエムをタイマー録画できなかった人がたくさんいる。
フィナーレでの各国選手からの応援も、ロシアから日本へのメッセージも放送されなかった。
安藤美姫選手はロシア語でお礼を述べ、さらに日本の現状を英語で伝えたが、フジテレビでは放送されず仕舞い。
インタビューのVTRや、スタジオのゲストの感想などよりも優先すべきだった。
従来なら、視聴者はこのことさえ知らずに終わったが、今テレビは地上波の他に衛星放送やネット中継もある時代。
完全生中継をした有料放送の視聴者がTwitterにリアルタイムに情報を流したことからフジテレビの放送がいかに酷いものかが発覚した。
フジテレビは放送すべき重要な部分をカットし、世界から日本への温かい応援メッセージを伝えなかった。
これでは、多くの日本人はロシアへの感謝の気持を抱き、厚意に対する謝辞を伝えることが殆ど出来ないだろう。
世界中の好意を踏みにじってまで、視聴率やスポンサーに気遣いし、キャスターやゲストのトークを優先するとは、メディアとしてのレベルがいかに低いかという恥を自ら晒したに他ならない。
フジテレビには猛省を促すとともに、番組ディレクターを降格にしてもらいたい

