涙を馬のたてがみに心は遠い草原に… -STIL0003.jpg

以下は、『今日の宇宙天気情報』から昨日(2月13日)の日報です。


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【NICT 今日の宇宙天気情報(日報:2010年02月13日 15時00分 (JST))】

 この情報は、毎日午後4時ごろ最新のものに更新されます。
 世界各地の観測データを元に、情報通信研究機構での観測等も加味して決定された、その日の太陽活動や地磁気活動の情報によって構成され、これらの情報から地球の周りの宇宙空間で今何が起きているかを知ることができます。

担当: 永井
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概況・予報

活動領域1045、1046からMクラスの中規模フレアが計2回発生しました。
活動度が弱まる様子は見られずMクラス以上のフレアが発生する可能性があるため、今後の推移にご注意下さい。
太陽風は340km/s前後の低速風まで下がり、地磁気への影響も弱まったままです。
太陽面南北に2つあるコロナホールからの影響到来が予想されるため、1~2日後の推移にご注目下さい。
なお12日のM8.3フレアに伴ってCME(コロナガス噴出現象)が発生しており、地球方向にガスが放射された可能性があります。
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太陽活動

昨日はMクラスフレアが2回起きました。
GOES衛星のX線観測データによると12日07:18(UT)にC7.9フレアが発生した後、11:19(UT)にM8.3の中規模フレアが起きました。
これらの発生源は太陽面中央付近にある活動領域1046のようです。
そして17:52(UT)にもM1.1フレアが発生しました。
こちらの発生源は北西の活動領域1045です。
その後もCクラスフレアが頻発しており、活動度も弱まる様子は見られません。
なお、今回のM8.3フレアに伴ってCME(コロナガス噴出現象)も発生しています。

NOAAの報告によると、活動領域1046(N24E00)は規模(面積、数)がやや小さくなったようですが、磁場構造はβγと変化はありません。
また活動領域1045(N19W63)も引き続き規模は小さくなっていますが、磁場構造はβ→βγとやや複雑化しています。
なおSOHO衛星のMDI画像を見ると活動領域1045は太陽面西端(画面右端)に回り込み始めており、影響も少しずつ弱まっていくのではないかと思われます。

一方で、太陽活動の目安となるフレアが発生していない時のX線強度(バックグラウンド)や太陽電波(固定周波数観測=F10.7)の値は弱まる様子が見られません。
今後もMクラス以上のフレアが発生する可能性があるため、活動領域の推移にご注意ください。

ところで日本時間12日0時23分(現地時間11日10時23分)に、NASAの太陽観測衛星SDO(Solar Dynamics Observatory)を搭載したアトラス5型ロケットが、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。
SDO衛星は、Living With A Starと呼ばれるNASAの科学プログラムにおける初めての衛星だそうです。
0.75秒間隔で太陽面の高解像度画像を撮影し、1日に1.5TBのデータを地球に送ってくるそうです。
この衛星は、今後の宇宙天気予報にどのような影響を与えるのでしょうか。
最初の観測画像(ファーストライト)を期待して待ちましょう。

NASAによるSDO衛星のサイト
http://sdo.gsfc.nasa.gov

■本日/昨日における活動領域(黒点群)
領域番号、位置、面積、黒点数、黒点群のタイプ、磁場構造
1045  N19W63  90/150  05/11  Fso/Fsi  βγ/β
1046  N24E00  130/190  13/33  Esc/Eac  βγ/βγ

(注)フレア
・太陽面で発生する爆発的なエネルギー解放現象。
・SOHO衛星のEITカメラ画像及びGOES衛星のSXIカメラ画像にて発生の様子が確認できる。
・GOES衛星のX線観測おいて発生したフレアの最大値により小規模なものからA・B・C・M・Xの順にクラス分けされている。(GOES衛星のX線観測データ参照)

(参考データ)
GOES衛星の太陽X線データ
http://www.swpc.noaa.gov/rt_plots/xray_5m.html

SOHO衛星による太陽画像データ(EIT・MDI・LASCO)
http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime-images.html

STEREO衛星による太陽画像データ(EUVI)
http://stereo-ssc.nascom.nasa.gov/beacon/beacon_secchi.shtml

国立天文台 太陽観測所(可視光、Hα画像など)
http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/solarobs.html

National Solar Observatory
Global Oscillation Network Group(地上からの可視光、磁場観測の最新画像)
http://gong2.nso.edu/dailyimages/

NASAによる最新のフレアリスト
http://www.lmsal.com/solarsoft/last_events/
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地磁気活動

太陽風速度の下降傾向が続き、340km/s前後の低速風となっています。
予想されたCME(コロナガス噴出現象)の影響は到来しなかったようです。
磁場強度は6nT前後で安定して、地磁気への影響も弱まったままです。

なお2~5nT程度の南寄りの磁場が続いています。
この影響で、シベリアの地磁気データでは僅かな変動が見られました。
また、オーロラ活動度を示すAE指数でも200~300nT程度の弱~小規模な変動が続いています。

SOHO衛星のEIT画像を見ると、南極から張り出したコロナホールが太陽面西半分(画面右半分)に近付いています。
また北半球の中央付近にもコロナホールが見え、これらの影響が1~2日後に到来すると予想されます。
ただし南半球のコロナホールは緯度がやや高めで、北半球のコロナホールは小規模のため、地磁気の乱れは少ないと思われます。
なお高速風前半は地磁気がやや乱れやすいため、明日くらいからの推移にご注目下さい。

ところで、12日に活動領域1046で起きたM8.3フレアに伴ってCMEが発生しています。
STEREO Behind衛星のCORカメラの動画によると、画面右方向にガスが放射されたことが確認できます。
STEREO Behind衛星のCORカメラでは画面右方向に地球があるため、影響が到来するかもしれません。

(参考データ)
ACE衛星による太陽風観測
http://www.swpc.noaa.gov/ace/MAG_SWEPAM_24h.html

沖縄の磁気じょう乱データ・Dst指数(赤道環電流)
http://swnews.nict.go.jp/rt/crl_oki_diff2.html

シベリアの地磁気(3日間)
http://swnews.nict.go.jp/rt/crl_bsat_1.html

リアルタイムAE指数
http://kogma.nict.go.jp/cgi-bin/qlae.cgi

27日の太陽周期プロット
http://swnews.nict.go.jp/rt/crl_27d.html

SOHO衛星による太陽画像データ(EIT・MDI・LASCO)
http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime-images.html

STEREO衛星による太陽画像データ(EUVI、COR)
http://stereo-ssc.nascom.nasa.gov/beacon/beacon_secchi.shtml

STEREO衛星の現在位置
http://stereo-ssc.nascom.nasa.gov/where.shtml

ひので衛星による太陽面画像データ(X線画像、可視光部分画像)
http://hinode.nao.ac.jp/latest/

GOES衛星によるX線画像データ
http://www.swpc.noaa.gov/sxi/index.html

(注)ACE衛星の太陽風観測データと地磁気への影響
・ACE衛星は太陽と地球の引力がつりあうラグランジュ点(L1)の近くで、太陽風を観測します。
このラグランジュ点を通過した太陽風は約1時間後に地球に到来しますので、ACE衛星は太陽風の乱れを地球に到来する約1時間前に見つけることができます。
・太陽風の速度(黄色)及び磁場強度(白)が高い程、地磁気への影響が大きくなる。
・磁場の南北成分(赤色)が南寄り(-方向)となった際に、地磁気への影響が出やすい。
( )表示はACE衛星の太陽風観測データにおけるプロットの色
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プロトン現象

静止軌道付近の10MeV以上のプロトン粒子フラックスは、1[個/cm^2/sec/sr]未満の静穏な状態で推移しています。

(参考データ)
GOES衛星 高エネルギー粒子
http://www.swpc.noaa.gov/rt_plots/pro_3d.html