新しい段階に入る予定だった抗がん剤治療が、現時点では難しいと判断されての昨夜。
輸血のとき以外は点滴針を畳んで手首にネットで巻いておくだけになり、前回の24時間点滴はなくなった。
それでも、起きている間の水分摂取を多めにしているので、夜間のおしっこで、四回起きた。
ただ、起きてもトイレからベッドに戻ればすぐに入眠、ぐっすりと眠れた感の八時間弱。
6時に起きて、読書、7時からは運動。
院内ウォーキング、エアロバイク12分、筋トレと50分ほど動き、朝食。
9時からは、二階に下りて歯科医受診。
正直、再入院してすぐに、しかも抗がん剤も変えていなく、歯磨き指導だけのような診察を、医療費別会計の歯科医受診するというのが頻繁だと困る、と思って、その旨も話してきた。
将来的に使うかもしれない抗がん剤の中に、骨を強くするための副作用として、歯及び歯肉に悪影響が特に歯周病があるとまずいということでの受診なのはわかるけれど、現時点、目先のことが優先になってしまう。
11階に戻ってくると、主治医が来てお話。
昨日の続きになるが、とりあえず今までのステロイドと抗がん剤で繋いでおいて、可能性は低いけれど血液の各種の値が良くなることに期待。
ただし、もう1クールくらいしか待てない、次の段階に進むには、肺血栓側のリスクの抗がん剤でなくて(こちらは骨髄の自家移植へ向かってのオーソドックスなパターン、自家移植は65歳以上はできない治療法)、DVD療法と言われる私が今も服薬、投与されているステロイドと抗がん剤皮下注射にさらに一種の抗がん剤皮下注射を加えていく治療法を選ぶほうがリスクは低いだろうと言われた。こちらのリスクはアレルギー。
肺血栓もアレルギーも、私の血液の各種の値がこれほど低くなければ、大した副反応も出ないのだけれど、私の現状だと命に関わる場合もあるということだ。
昨日の、午前11時に話しにきて、新しい治療法に移ると決意表明してくれた主治医が(もちろん私もそのつもりで再入院してきた)、わずか三時間後に、冴えない表情というか青い顔をして病室に来て「ちゃりこ父さん、現状、かなりリスクが高いです」と言ってくれたこと。
残念だったし、不安は増したし、怖くもなったけれど、彼の人間性をとても信用できると思った。
一日経って、今日はさらに長い時間、回数も多く話した。
そして、今までの治療法を続けていく中で、血液の状態が良くなるのがベストだけれど、待っても1クールだけ。
急がないと進行もしていくし、なんとかしないといけない。
DVD療法をやっていくしかないと思う、と。
私もどこかのタイミングで覚悟は決めないといけないし、そちらでいいと思っている、と応える。
メンタルは昨夜はきつかったけれど、かなり落ち着いて心も整えてきたし、と話した。
それからは、雑談もしてみた。
若い医師なので、お子さんは8歳、小学生だけれど甘えん坊で、学校には行きたがらないらしい。
私は、自分の娘との自転車旅行継続を目標に闘病すると、当初から話していて、著作も渡したので、
「ちゃりこ父さんから学ぶこと、たくさんありますよ」なんて言ってくれたり、
私が、「所詮、たかが学校ですよ」というと、
「その通りですよ」と意を酌んでくれたり。
他にも「ちゃりこ父さんは治療法や方針を質問しながらきちんと理解してくれるので、説明もしやすくて助かってます」と言ってくれたり。
さらには今日は看護士さんにも恵まれ、ベテランの看護士さん(昨日も点滴針を刺すのを二回失敗した若い看護士に代わって、針を手際よく刺してくれて、『私の血管の側に問題があるんですかね?』と訊くと、嫌味もなく『単に看護士の力量の問題だと思います』とキッパリと言い切った方。ちなみに、失敗した看護士さんのことも、きちんと謝って、交代しますと言ってから代わったので怒ったりしませんでしたよ、むしろ気にしなくていいよ、と慰めたくらいだ。私は失敗を怒るわけじゃない、うやむやにして無言で立ち去ったり、何の説明もしないで逃げたり代わったりする卑怯で無責任な奴らを怒るだけですから)が、主治医と私の話中に病室内にいて、しばらくしてから、病状について話してくれたり、話を訊いてくれたり、雑談もしたりした。
主治医以外に、こんなに長く話を聴いたりしてくれた人は初めてだったので、点滴針の件、その他にも、服薬の私への渡し方が飲んだあとの殻を提出しないといけないのに、ミシン目の入っていないものが渡されていたのを「これは渡したナースがダメです」と切ってくれたり(ハサミ等刃物の持ち込みは患者は禁止されている)……
もう一人、こちらも親切な部類の若い看護士さん、8月から産休、と話してくれて、気持ちがほっこりした。10月に男の子誕生予定、いいね、未入籍らしいけれど、幸せになって欲しいものだ。
午後も同じセットで運動ができ、エアロバイクは15分。
その後、血小板の輸血。
そんなこんなで、落ち着き、心を整えられた感のある一日だった。
惜しむらくは、いかにも甘やかされた日本の団塊世代高齢者のジジイがロビーのテレビを長い間独占していたので、病人くくりだと同等なので張り倒してやろうかなと思ったけれど、せっかく整った心なので、別の機会に生け贄とすることにした(笑)
高橋三千綱の「少年期、九月の空その後」を読了し、同じく高橋三千綱の「略奪の初夏」を読み始めた。