5月4日、みどりの日。
ちゃりこが幼い頃のゴールデンウィークは、4月29日に新宿御苑、5月4日に小石川植物園、というのが定番だった。
他の日に私の試合があったり、山登りに行ったりもしたけれど、なぜか29日と4日には試合が外れることが多かった。
さて、帰省したちゃりこ、サイクリングはする気が満々で、今日はかつての思い出に浸りつつ、みどりの日の入園無料を利用して、庭園ハシゴサイクリングとすることにした。
朝9時に出発、まずは、元々入園無料の目白庭園へ。
先日も、私は予習をしておいたけれど、生まれて一週間弱になる、カモの赤ちゃんを観にいった。
かつては毎年、観察に来て、じゆうちょうに絵を描いてよろこんでいたちゃりこ。
今日はしっとりと無言で見つめていた。
先日、庭園の人に聞いて初めて知った、青大将の姿を見つけたのは、ちゃりこだった。
「あっ! ヘビがいるよ!」
かなり太い体を岩の上で丸めていた。
カモの赤ちゃんのほうは、朝だからか、あまり泳がずに、もっぱら池の畔で日向ぼっこばかりだった。
目白通りに出て左折、文京区に入って不忍通りに出て左折。
護国寺を左に過ぎて、春日通りで右折して進む。
左に播磨坂を下っていき、小石川植物園へ。
周りの塀が古いブロック塀から新しく透かし絵の入ったお洒落なものに変わったのは、ちゃりこは初めて目にした。
今までだと、丸一日過ごした植物園だけれど、今日は軽く一回り。
それでも要所を押さえながら、思い出を振り返る。
ヤエヤマブキは残念ながらほとんど終わり。
いつもは遊ぶのに夢中で、お花くらいしか目に入っていなかったのは、ちゃりこも私も同じ。
カイヅカイブキの巨木があったなんて、今日初めて知った。
ソテツ、トウジュロ。
ヒマラヤスギはいつも圧倒されていた。
藤の花もほとんど終わっていた。
シャクヤクがかろうじて残っていたけれど、ツツジ苑にも赤いのが一株くらいで、あとはカサカサに縮れた花が寂しげだ。
ジャーマンアイリスは今年も白い花を開いていたけれど、勢いが弱いような気がした。
クスノキが細かい花を着けて、圧巻。
かつて見つめて不思議に思った、ハンカチノキは今日は白いひらひらを残していなかった、残念。
エゴノキに白い花、ハリグワ、ホオノキの大きな葉っぱ、クロマツがたくさん並び、ムクロジの巨木は大泉北野神社の“ねりまの名木”をはるかに越える。
カリンの木が並ぶところでは、かつて秋に来たときに内緒で、落ちていた枝をぶつけて、実を落とそうとしてはしゃいだものだった。
下に下りていって、日本庭園横の原っぱは、いつもおやつを食べたり、“ぐるぐるルーレット”というちゃりこが考え出した遊びで、走り回って二人ではしゃいだ場所。
少しだけ、紫と黄色のアヤメの花が開いていた。
そして、初めて目にしたのが、カルミアのかわいらしい星形の花。
ちゃりこよりも私のほうが感動してしまった。
ハナキササゲの葉っぱには、不思議なことに二種類の形が観られた。
プラタナス形のものと、トチノキ形のものと。
梅の木々には青い実が膨らんでいた。
出口に向かって歩いていくあいだに、エンジュ、シダレカツラ、トチュウ、タイミンチク、大きな気根をたくさん盛り上がらせたラクウショウ、メタセコイア……
そして、遊んでばかりいた頃、私もちゃりこにばかり関心がいって、神社になんて見向きもしなかった頃には気づかなかったけれど、コンクリート鳥居に土瓦屋根の木殿があった。
手前にスギ、周りにムクノキ、モチノキが立っていた。
ムラサキシキブも手前に。
さらに出口へ向かっていくと、ユリノキ、つるつるした幹のクロキ、チャンチンモドキ。
40分ほどで、かつて丸一日過ごした植物園を巡ってきた。
千川通りをまっすぐ進み、こんにゃく閻魔に立ち寄ってから、東京ドーム前を右へ。
小石川後楽園へ。
ここは、ちゃりことは一回しか来たことはないかな。
モミジの緑色の葉っぱがやけに輝いていた。
赤いプロペラ形の種が着いていた。
やっぱり藤の花は終わってしまっていた。
白い花菖蒲が少し咲いていた。
琵琶湖を模した池には、蓬莱島、竹生島。
外側に、白糸の滝。
左に逸れていくと、円月橋という石橋が見事。
梅林、茅葺き屋根の九八屋から奥に向かい、赤門をくぐり、錦春稲荷神社。
ケヤキ、マキ、シイノキに囲まれ、丸木柱の木殿、中に木祠。
内庭の小さな池には白い蓮の花がたくさん開いていた。
唐門は修復が終わって立派になっていた。
後楽園にもいたのは40分くらいかな。
まだまだ、走るよ、巡るよ。
暑いくらい、青空、炎天下になってきた。
………続く………