当時日本語を教えていた大学の授業が急きょ休講になり、突然5連休の休みが取れることになりました。
せっかくだから、以前からお誘いを受けていたレーシャさんを訪ねにイタリア・ミラノ近郊に遊びに行くことにしました。
レーシャさんは私がウクライナで日本語を教えていた時の元・教え子です。
23歳の先生だった私とは年齢が近かったこともあり、下宿先に招いてもらってピザを一緒に作ったり、女子会に誘ってももらいましたが、何といってもよくクラブに連れて行ってもらいました。
美人でスタイルのいいレーシャさんとそのお友達の中に一人もさっとした日本人が混ざっているのはさぞかし珍妙だったとは思いますが、当時からよく世話を焼いてもらってました。
彼女とは日本でも再会し、ウクライナに戻った後、今の旦那さん(イタリア人)と出会い、イタリアに引っ越して、一昨年娘さんを出産したところまでは聞いていて、どうして私以外のみんなの人生はこうも順調なんだろうなぁと思っていたのでした。
私がクロアチアに行くと報告すると、すごく喜んでくれていつ遊びに来れるかを尋ねてくれていました。
私の住むクロアチアのPulaからはヴェネツィア行のバスがあり、片道約4時間、26ユーロで行くことができます。
そこから、電車に乗り換えてMilanoまで向かえば、駅までレーシャさん一家が迎えてに来てくれるというので、土曜日に出発して、火曜日にPulaに戻ってくることにしました。
PulaをAM6:25に出発したバスはイストラ半島を北上し、スロベニアを通り抜けて、イタリアのトリエステという町で停車し、小型のバンに乗り換えると、そこからは何回かウトウトしているうちにヴェネチアに到着してしまいました。
実はヴェネチアは2回目でして、1回目も一人で来たのでした。
ウクライナ時代に、外国人講師の夏休みというのは下手をすると学生よりも長く、一年目の夏休みをノープランで迎えてしまったら、本当に毎日何もすることがなく誰にも会う機会もなく、おめおめと日本に帰って出稼ぎバイトをする羽目になりました。
2年目からはインターナショナルワークキャンプというのに参加することにして、1か月以上イタリアに滞在、さぁ後は帰るだけというときに、ローマで空港を間違えて飛行機に乗れなくなってしまったのでした。
なるべく直近で安くウクライナの近くまで飛んでいる飛行機を探したところ、ヴェネチア→ブダペスト便があったため、ヴェネチアまで移動してフライトの日程までの2日間を一人寂しく観光したのが、1回目のヴェネチアの思い出です。
でもそんな落ち込んだ(そして行く予定じゃ全然なかったので知識ゼロの)私にも、ヴェネチアというのは圧倒的に美しくワクワクさせてくれる町でした。
インフォメーションセンターで他の都市のように
「地図下さい」
と言ったら
「1ユーロです」
と言われて、
え?無料じゃないんだと驚いていたら、後ろに並んでいた外国人観光客から
「ここはヴェネツィアだもん、無料のものなんてないよ。」と諭され、
地図なしで適当に進んだ細い裏道に、おいしいジェラート屋さんを発見できたりして(次の日にはたどり着けなくなったんだけど)、他の町やっぱり全然違う町、それがヴェネツィアという気がします。
12年前、「次こそは恋人か旦那さんと一緒に戻ってくるぞ」と誓ったこの町に、また一人で来てしまいました。
か、悲しい…。
ミラノ行の列車が出発するまでの2時間ちょっとが私に与えられたヴェネチアでの滞在時間です。
2時間じゃ足りないなと思いながら本島に繰り出したんですが、荷物の重さに早々にギブアップ。
お土産のワインと瓶詰が入ったショルダーバックが腕に食い込んで、うっ血しそう。
ヴェネツィア駅でカプチーノ飲みながら一息つくことにしました。
ほぉ、やっぱイタリアは駅のカフェでもおしゃれだし、時々ほんとにハッとっするくらいハンサムな人がいます。
かっこいい人が隣の席に座ったりしないかなぁと淡い期待を抱きつつ乗った列車も、どこまで行っても隣にも向かいにも誰も座らなかったので、寝て過ごすことにしました。
2時間半でミラノ到着です。
到着ゲートでレーシャさんが私を見つけてくれて、かれこれ4年以上ぶりの再会です。
レーシャさんはママになって、ナチュラルな美しさを持つ女性になってました。
向こうから大きな体の旦那さん、マッシさんと娘のソフィアちゃんがやってきました。
ソフィアちゃんは2歳で身体は大きくはないんですが、好奇心旺盛で隙を見ては飛び出していっちゃう元気な女の子です。
とってもかわいい。
レーシャさんとマッシさんは、
子供を育てるっていうのはそれまでの人生が全く変わってしまうくらいの大きなことなんだよ、それでも子供が欲しいの?
と彼氏さえおらず、人生が激しく安定していない私に子育ての大変さを諭してくれました。
でも二人のソフィアちゃんと接する態度を見ていると、愛情たっぷりで、それぞれが自分の言語で話しかけているので、ソフィアちゃんは2歳にしてバイリンガルで、理想の国際結婚家族です。
レーシャさんもイタリア語をとても流ちょうに話せていて、
車も運転しているし、新しい環境に順応するのは簡単ではないのだろうけど、私のことも気にかけて招いてくれる、とても優しくて美しくて強い女性です。
彼女が私の友達になってくれて、本当によかったな。
夕食は私が前から行きたかったイタリアスローフードのテーマパーク的なお店、EATELYで取るということで3階のフードコートが開く7時まで店内を見て回ることにしました。
わぁ!
これよ、私が求めてたものは!
この店大好き!
1階はブックコーナーや野菜・果物類、そしてオーガニックコスメや洗剤などが、もうそれはそれはこれまで見たことない位のラインナップで揃っています。
2階に上るとチーズやヨーグルト、お肉&ハム類にお魚やお惣菜とイタリアの美味しいものが集結!
そして3階は、大好物のワインコーナー&フードコートです。
ワインは樽からグラスでテイスティングさせてくれるとのことで、まずここで1杯。そしてアペリティフを食べさせてくれるコーナーを見つけ、トリュフのラビオリと一緒にもう一杯!
あ~幸せ!
ワインを楽しんでいるうちに、フードコートが開く時間になったとのことで、移動すると6時開店を待って、行列ができていました。
ここで席を確保できなかったら、2巡目を待たなければならなかったんですが、どうにかテーブルにつくことができました。
フードコート内にはピッツァを焼くための窯もあり、ピッツァやパスタ等一通りのメニューを、もちろんビオで楽しむことができるのですが、お値段はまっとうというかビオだからと言って高くなく、ディナーとしては日本より安いくらいかもしれません。
みんなでパスタやピッツァをシェアして、ここでもワインをいただき、大・大満足でした。