前回の続き。
ベラルーシとリトアニアの国境駅で警察に降ろされたので、さすがにお気楽極楽の私も自分に起こったことが理解できずに、茫然としてしまいました。
警察に連れて行かれるまま、国境警察の待合室に入ると、同じように列車から降ろされた外国人男性が先客として2人座っていました。
警察官の英語はかなり片言だったのですが、その2人が先に集めた情報によると、どうやら私たちは今からまた列車でミンスクに戻り、航空機のチケットを予約して、飛行機で出国しなければならないという状況にあるということでした。
チケットを予約しようにも、私の携帯はここではネットがつながらないし、Wi-Fiもない。
一体どこでチケットを買えばいいのか、と軽く途方に暮れていると、ノッポで眼鏡の男性の方、トゥンチャイが自分の携帯からWi-Fiを飛ばしてあげるからそれを使って調べなよ、と言ってくれました。
この言葉を聞いて、私はやっと、
(よかった、ここに私を手助けしてくれる人がいた。
大丈夫、心配ない。落ち着いて考えれば無事にこの状況を乗り越えられる)
と自分を立て直すことができました。
まず、LINEで家族に国境で捕まったということを連絡。
同時に、私の家族はこういう時、実質的な役には立たないことは十分わかっていたので、頼れる親友・ミコラ君にも連絡しました。
案の定、家族は「えぇぇぇぇぇぇー!」とひとしきり驚いてたんですが、その間ミコラ君は一番早く、そして安くリトアニアへ向かう飛行機の便を調べてくれました。
ネット環境が弱すぎてサイト上でチケット決済手続きまで進めず、何度もエラーがでる私の代わりに、自分のクレジットカードで航空券を購入し、Eチケットを私のメール宛に送ってくれました。
ヒュー、さすがです。
もうミコラ君に足を向けて寝られないです。
ここまで完了して、家族とのグループチャットを覗いてみると、話題はおいしいクレープのレシピに移ってました。
あはは、腰が抜けそうになりました。
家族の一員が国境で捕まったって言うのに、なんなのこの家族。
こちらもさすがです。
家族曰く、ミコラ君に連絡したのなら、ミコラ君がどうにかしてくれるだろうと思ったから、心を落ち着けるために、クレープの話をしてたそうです。
チケットも取れ、どうにか問題解決の兆しが見えてきたところで、やっと落ち着いて、そこにいる国境拘束組の2人と自己紹介し合いました。
自分の携帯からWi-Fiを飛ばしてくれたトゥンチャイはオランダ人で、もう一人、この寒い中半袖になっている筋肉男子はアメリカ人でした。
トゥンチャイはこの日の早朝オランダに向かう便で出国予定だったにも関わらず、前の晩ヒルトンのバーでウィスキーを飲み過ぎて爆睡し、アラームにも、予約していたUrberのピックアップにも気づかず、起きたら飛行機の離陸時間だったそうです。
そこで急きょ、便数の多いリトアニアへ移動して、そこからオランダ、もしくは近隣の国まで飛ぼうと考え、列車で国境超えをしようとして、警察に降ろされたということでした。
ただ、彼の状況がより深刻だったのは、彼はその日が既にベラルーシ滞在5日目で、当日中にベラルーシを出国しないと不法滞在となり、何らかのペナルティーが課せられるか、罰金を支払わなければならないだろうということでした。
アメリカ人の方の状況はちょっと不思議で、彼はバックパッカーとしてロシアから飛行機でベラルーシ入りしてたのですが、その飛行機が国内線扱いになっていたのか、入国手続きが行われていないということが、その国境警察で判明したようでした。
多分、それってベラルーシ側のミスなので、このアメリカ人はここで降ろされる理由は本当はなかったんだと思われます。
警察は彼に、この次のビリニュス行の列車に乗っていいよ、と言ってたのですが、彼はビリニュスが目的地なのではなく、翌朝にポーランドから別の国に行く長距離列車を既に予約しているらしく、タクシーに乗ってポーランド国境を超えるか何かしないと間に合わないということでした。
他人のことに同情してる場合じゃないけど、彼は国境で降ろされる必要もなかったのに、本当に不運。
国民以前に警察官も新しい法律を理解できてないんだから、仕方がないですよね。
結局アメリカ人は警察にタクシーを呼んでもらい、翌朝7時のキエフ経由ビリニュス行きの航空券を予約した私と、翌朝7時半のロッテルダム行のチケット購入したトゥンチャイは国境警察を出て、ミンスクへと向かう列車を駅で待つことになりました。
離陸まで16時間以上。はてさて何して過ごせばいいの…?