土曜日に癇癪を起して帰ってしまった長女が、日曜日に何事もなかったようにやって来た。

 

私は亡き母とぶつかると数年絶縁状態となっていた。

最期など特養に入るというイベントがなければ、絶縁状態のまま死に別れとなっていた。

 

人生を台無しにされたという親への恨みが渦巻いていた私と、人生を最大限生かしてくれたという親への感謝がある長女の違いであると思った。

 

令和3年、入院していた病院で、余命宣告された夫と面会したのだが、譫妄状態の夫に長女は「大学に行かせてくれてありがとう」と何度も叫びながら泣いていた。

 

40年くらい前に私は「白雪姫コンプレックス」という著作を手に取った。

北米のじつに8割もの女性が、結婚で大学を中退したり、キャリアを中断したりして、結果、一生を貧困のうちに終えているという衝撃の事実が書かれた本だった。

 

私が面白いと思ったのは、アメリカ人も女の子の教育はほどほどで良いと考えていることだった。

 

著者は、野心家の両親のもと、息子がおらず姉妹だけというウチに生まれた女の子はラッキーであると述べていて、まさにウチの事だと思ったのを覚えている。

 

長女は馬鹿ではないので、このことをよく理解している。

 

それが、一瞬腹を立てても、またケロッと実家に帰って来るという行為に現れている。