トントン
しょうさまの様子をじっと見ていたら扉の外から音がして、‥
「お食事のお時間です。
本日は奥方様が翔様とご一緒にお食事をとりたいとの仰せです」
執事さんが丁寧な言葉でしょうさまを起こそうとした。
われは慌てて、中が見えないように少しだけ扉を開き自分の身体を廊下に滑り出る。
手振りと手に字を書くことで、
『夕べ、しょうさまは、われに勉強を教えてくれているうちに寝る時間を過ぎてしまいました。
おくすりを飲んだのが遅かったので、まだ寝てます。
このまま起こさないであげてください』
と伝えた。
ふうっと溜め息をひとつした執事さんは、
「わかりました。起こさないでおきましょう。
ただ、起きたら母君が来ていると伝えなさい」
と言って去っていった。
でも、その時に漏らした『面倒なことならなければ良いが』という言葉はしっかりと聞こえてしまった。
何かあるのかな?
でも、しょうさまのかか様ならとってもキレイなんだろうな、だって、しょうさまは本当にキレイだもの。
見てみたいなぁ。
そして、ふいに自分の家族の事を思い出していた。