そっと手に取り裏を返すのをボクは見てられなかった。
だって、その蕾の中にはボクの思いがつまってる。しょおさんへの思いが、パンパンにつまっているんだ。
裏を見たのだろう。
カチャカチャという音がいくつも鳴り、しばらくして、何の音も聞こえなくなった。
どうしたのだろうと振り向こうとしたボクは後ろから抱き締められる。
「今度は、その蕾、咲かせてくれないかな。きっとゆっくりとなんだろうけどそれでもいい。
その……堂本氏のところに行くのも焼きもちやいたりしない。
だから、もどってきてくれ、俺の側に潤……って呼んでもいいよな、潤に戻ってきて欲しいんだ。
お前のいない俺は脱け殻だよ」
涙がでそうなった。ううん、たぶん泣いてた。
ボクは、しょおさんの側にいてもいいんだ。
こんなときだけだけど、神様の存在を思ってしまう。
神様、ありがとう。ボクの蕾はしょおさんによって綺麗な花に育つでしょう。
ずっと伝えられずに、伝えないままこの人生を終えると思っていた言葉を言ってもいいでしょうか。
「しょおさん、だ……」
動かしたボクの口唇にそっとゆびをあてるしょおさん。
「それを言うのは俺だよ。
潤、言わせてよ。愛してる。初めて見たときからずっとお前だけしか眼に入らない。
大好きよりもっともっと……」
不意に目の前がしょおさんだけになり、柔らかいものが口唇に触れた。
そうか、もう迷わなくていいんだ。あの蕾は花開いた。
もう、淋しくはない。
ツヨシさんに報告しなきゃ。
ボクは、間違うことなく愛する人を愛することが出来ます。
あなたの中にあの方が居るようにボクの中にしょおさんが居ます。
ずっと、ずっと……。
ボクの憧れていた思いは、しょおさんという名の星の傍らにあり続けるんですね。
ずっと、ずっと……。
Fin