あのね~番外編~PERSPECTE 1 | ビールと猫'sと嵐さんと(注・BL)

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嵐が大好物
J担 翔潤loverですが、櫻葉&大宮何でもアリです(妄想、腐ってます)

人の勧誘目的、宣伝目的、男性は入室されないでください。
絶対に申請認定しませんから。

 

 

「しょ~たく~ん」

 

 無事教育実習を終え、生徒たちの涙に送られながら(淳太は女子生徒なのに、なぜかぼくのところには男子生徒がうようよしてたのはなんでだ!)校門を出ようとすると、なんだかザワザワしている場所があった。

 

 たった今まで、

「淳太せんせ~行っちゃヤダ~」

「櫻井先生、ほんとにほんとに今日で最後っすか?写真ください!てかツーショットお願いします!」

なんて言ってた子たちまで、興味津々で、蜘蛛の子を散らしたように校門のほうへ走っていく。

 

「誰、待ってるのかな?」

「相変わらずかわいい~」

「お仕事じゃなかったら声かけちゃおっか」

 

 そんな言葉が漏れ聞こえる中、面倒に巻き込まれたくなくて流星と遠巻きに(直前までキャーキャー言ってた子がパタパタ走ってく後姿を見てる流星は機嫌悪そうだし)歩いていると、優しい耳に慣れた声が聞こえてきた。

 

 ん?

 

「ちょ、ちょっとごめんなさい。通らせてくれるかな」

 人ごみをかき分けぼくの前に来たのは、

「じゅんちゃん!」

だった。

 

「どおしたの?放課後に何か用?」

 

 そんな言葉が出たのは、じゅんちゃんが最近、保育士兼ぼくが卒業した初、中、高一貫校の養護教諭をしだしたからだ。

「資格を取ったわけじゃないからカウンセリング要員だけどね」ってじゅんちゃんは言うけど、不登校だった子たちがじゅんちゃんの勤務時間には学校に来るようになったし、うちの女子の一番の進路先が幼稚科のある短大だっていうのもじゅんちゃんのせいだろう。

 

「翔大君に用があって待ってたんだ。というか、ごにょごにょごにょ」

「え!あ、本当に?喜ぶよじゅんちゃん!」

「ボクも発表聞くまでは知らなかったから大したことはできないけどね。パパさんは今日いる?遅かったら翔大ちゃんに渡すから、パパさんに渡してくれたらうれしいな」

「パパは今日はオフで午前中は筋トレ行くって言ってたからもう帰ってるころじゃないかな。おとーさんはどうだろ?最近忙しいみたいで会ってないし、あんま把握しずらいってか、気が付くと洗濯が置いてあるって感じ。でも。、じゅんちゃんが来るって言えば帰ってくるよ」

「無理強いはダメ。忙しいのはいいことでしょ。それに、今日のメインはパパさんだからすねちゃうかもしれないもん。そうなったら翔大ちゃんが大変だ」

 

 それもそうか、なんて笑っていると、

「おい、しょた」

淳太が頭の上に顎を乗せ、

「紹介してよ。じゃなきゃ俺帰るわ。この注目の中はいくらなんでもつらい」

と不機嫌そうに言った。

 

「ああ、わりー。俺の人生の先輩のまつもとじゅんさん。実習開始前のミーティングでは会ったことあったよな。じゅんちゃん、これは悪友の中間淳太」

 頭の上の淳太を払って紹介すると、あ、じゅんちゃんのキラースマイル!!

「英語の実習の子だったよね。お話はしなかったけど覚えてますよ。改めて、まつもとじゅんです。翔大君とは彼が小さなころからの知り合いです。仲良くしてくれてありがとう。これからも翔大ちゃんのことよろしくね」

 あ~あ、真正面からホワンとした笑顔にやられて顔真っ赤じゃん流星。

「はい!覚えてもらってて恐縮です!ふ、中間淳太どす!よろしくお願いされまする!」

 お~、言ってることがわかんね~ぞ~。

 

 いきなり突然ぼくの頭を抱えるようにした淳太は、

「あ、あの日スーツ着てたよな。お、女の人じゃないよな、男なんだよな」

と耳打ちしてきた。

 

「何言ってんだバーカ。それより淳太今日の約束なしな。反省会は明日キャフトでな」

「あ、翔大ちゃん、予定在ったんだね。ボクも学長先生にお話があるって呼ばれてるから、そ~だなぁ、7時ごろにお邪魔していい?」

「え~一緒に帰ろうよぉ」

「先にした約束は守らなきゃダメでしょ。じゃあね中間く……あれ?君、幼稚舎にいて小学校からは違う学校に行った、のぞむ君のお兄ちゃんじゃない?」

 

 あれ?淳太ってじゅんちゃんの幼稚園に行ってたっけ?聞いたことないぞ。外部生だってのは聞いたことあるけど。

 

「え?え?え?も、もしかして、ジュン先生ですか?」

「そうだよ~、そっかぁ、こんなに大きくなったんだね。教育実習って先生になるの?」

「あ、幼稚舎の子に英語の基礎を教えたくて。弟を迎えに行くと時々英語の歌が聞こえてきて。あそこで聞いたことが今の僕を作ってるので。と言っても、その後父の転勤ででイギリスに行って、あちらの教育課程を過ごしたんですが、やはり日本がいいと大学に入りなおしたんです。で、こっちで雇ってもらうよう頑張るつもりです」

「えらいねぇ、のぞむ君の手をしっかり握ってた君がずっと先、未来の子供たちの礎になるよう応援してるよ。何か困ったことがあったら、」

ぱっと名刺を出し、

「ぼくを利用してくれていいから電話頂戴ね」

ニコッと笑って、えっちらおっちら人波をかき分けながら校舎に入って行ってしまった。

 

「なに、淳太じゅんちゃんのこと知ってるの?」

 

 呆然としている淳太の肩をつつくと、

「俺……ジュン先生のことずっと女の先生だと思ってた」

目線でじゅんちゃんのことを追っている。

 

 まあ、ありえなくもないよな。あの容姿にあの口調、ニコッと笑った日にはボクだってドキドキするもん。

 

「行くぞ、淳太。さっさと終わらして家に帰んなきゃいけない用ができた」

 淳太を置き去りにしてさっさと歩きだすと、

「待てよ、しょた」

とボクのことを呼ぶ。

ったく、

「『しょた』だけはやめろ。変な意味を持つ言葉だって知ってるだろ」

「しょたこん……しょうたろう君コンプレックス。半ズボンはけば良いじゃん、お前には似合うぜ、しょた」

「うるせ~」

年上だからって揶揄いやがって、くそ!

 

 でも、じゅんちゃんが来るのはパパにはバレないようにしなきゃ、ね。