「そうですか、やはりむずかしいですか。大人になりかかってる子供達のためにもなるし、ちびちゃん達もそろそろ社会勉強をと思ったんすが」
「松本先生のおっしゃられることはわかるのですが、志望校が幼稚園なのを良しとしない保護者もいますので‥…なんとも‥…」
「今はまだ、ご相談の段階ですので、そういう方法もあるとだけ頭のすみに留め置いてください。
本格的に動くとなれば色々としがらみなどもあるでしょうし。
事実、同じ件でお話を持ち込んでこられている幼稚園もあるのです。
ただ、一貫校と名をうっているのに学園町を通さないというわけにも行かないので、本日はお邪魔しました」
「何校か!?」
「はい、私どもの園の教育方針を気に入ってくださってお話をいただいているところはあります」
ボクはニコッと笑うと、
「大野は子供達の事が1番と考えていますから突飛なことをしているように見えるだけですからね。まあ、なにも考えていないように見えますけど」
そういって一礼して部屋を出た。
うまくいったかなぁ。
まぁ先生はボクが一人で行く方がいいって言ったけど、ちょっと心細かったんだよね。
かずくんにリハーサル頼んでよかったぁ。
「あ、そうだ、パパさん、パパさん。家に一回取りに帰らなきゃ」
喜んで貰えたらうれしいな。
何だか、女の子達がいっぱい話しかけてくる中を、掻き分け掻き分け校門へと急いだ。
「ごめんねぇ、ちょっと急いでるんだ。明後日来るから、その時でもいい?」
進路の話、とか、いろんな事いっぱい言われても、今日だけはだめなの。
今日だけはパパさん優先なんだ。
たたたって走って駅へと急いだ。
んふふ、でも、パパさん凄いよねえ。
おとーさんも凄かったけど、楽しみだなぁ、行くの。
「でも、当たらなきゃ行けないかぁ」
みんなが行けますように!