「じゅん!」
ボクは耳を塞いで声を聞かないようにした。聞こえてしまったら、言うことをきかなきゃいけない。
所長がボクの番号を呼んだときのように。
いろんな人の手に引かれてはいつくばされたり、縛られたまま縄で打たれたり、身体の中に入ったもの外に出したくてもがいても、もがいてもお酒を飲みながら足で押し込んできたり.....。
酷いことを相手が飽きるまでさせ続けられるんだ。
だから、せめて、せめてもの抵抗。
ボクは耳を塞ぐ。
どんなに身体の震えが止まらなくても絶対に聞くもんか。
ボクは餅ちゃんと別のお仕事をしてるんだ。
あんな仕事をしたりしてるわけじゃないんだ!
「じゅん!俺を見ろ!」
いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
「俺の顔をよく見ろ!
俺は誰だ?この声も思い出さないか?」
こ、え?
こえ、こえ、この声は……
恐る恐る顔を上げたら、そこにいたのはしょぉくんだった。
「しょぉ、く、ん?」
「ごめんね、急ぎすぎてがっついちゃった。
深いキスは怖いよね、ましてや舌を触られるなんてね、ごめん。
ただね、忘れないで。
俺はじゅんには酷いことをしない。
ね、手を繋いでくれる?許してくれる?ほっぺにちゅはしていい?」
しょぉくんだった。
怖い人じゃなかった。
震える手でしょぉくんの人指し指を持つ。
ボクは、しょぉくんが好きだもん。
だから……
きゅっと引いて前屈みなったしょぉくんのほっぺにボクからちゅってした。
好きなんだもん。