君がいいんだ_93 (last) | ビールと猫'sと嵐さんと(注・BL)

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嵐が大好物
J担 翔潤loverですが、櫻葉&大宮何でもアリです(妄想、腐ってます)

人の勧誘目的、宣伝目的、男性は入室されないでください。
絶対に申請認定しませんから。



気を付けてと言った二宮をホテルに残して向かったファストフード

車で乗り付けるわけにもいかず、スーツも身に付けなかった。

スーツ以外の服に袖を通すなんて久しぶりだし、どこにいても僕の肩には櫻井グループが乗っていたからそれを下ろして道を歩くことも久しぶりだ。

とは言っても、これから会うのは仕事の関係の人だけど。

ブラックコーヒーを買い、窓辺に座る僕。

『社長の顔はご存じだそうです』

用意周到だな、どんな人が来るんだろう。

店内を見てもそれらしき人はいない。

って言っても、顔がわからない僕にはそれらしき人を見つけることすら出来ないけれど。

「HELLO MR.SAKURAI.」

時間ジャストに後ろから声がかった。

身体が固まる。

ゆっくりと振り返れば、

サングラスを外し、

「本当に来たんだね、翔」

そう話しかけてくる。

「なん、で?」

「あなたが契約を結びたいと言ったのは、オレの会社だ。

トップを出さないような会社と契約は結ばない。

たかがベンチャー。

餌をぶら下げれば飛び付くだろうとバカにされてまでオレの会社は売らない。

それはオレのプライドだ。

絶対に譲れない。

だから君が来なかったら櫻井グループとの契約も結ばないつもりだった。

でも、君は来たね。

ふふ、松岡先輩と栄子女史はオレの考えにすぐに気がついた。

説得したらしいけどシエテは乗ってこなかった。

契約は即無効。

で、シエテのやり方に不満を持った2人、引き抜くのは簡単だったよ。

得したのはオレってわけ。

2人の前に姿を表した時の顔、思い出しただけでも笑えてくる」

「なん、で?」

「ああそうだ、契約の条件はもう二宮に告げてある。

君がここに来た時点でGOも出てるよ」

目の前で仕事の話をするあなた。

でも、僕は言葉が見つからない。

最後に別れた時のままの変わらないあなた。

『もう終わり』

そう告げたあなたに何が言えると。

そんな僕を見て困ったように笑って・・・真剣な表情になった。

「君と対等になりたかった。

正々堂々と愛してるって言える自分になろうと思った。

叶うかどうかわからないオレの意地に振り回すことだけはしたくなかった。

だから別れを告げた。

ごめん。

傷つけてごめん。

ごめんじゃすまされないよな・・・ごめん。

許せないと罵ってくれていい。

オレを愛してないならそう言ってくれ」

そう言って首を垂れる。

涙が落ちる。

僕はこの人を失っていなかった。

離れていた時間も愛されていた。

「好き、って言っても、いいの?僕の事、もう、離さないでくれるの?」

「好きだよ、ずっと出会ったときから愛してる。

翔しか見てない。

翔しか見えない。

もう離さない。

そばにいて、オレと共に人生を歩んで」

柔らかな笑みをのせて僕を抱き締める潤。

「ぅふ・・・」

嬉しさで、涙が止まらない。

嗚咽をあげる僕の顎に指がかかり、そのままあなたは口付けを落とした。

「oh!You two are so cute  together!」

「whew!」

「whew!whew!」

「Whoa!You guys have really hit it off!」

ハッとして潤君の身体を押す。

でも、潤君は平然と、

「I'm sorry gone to show off.

He'm my lover!

Probably cute than the angel?」

なんて僕を抱きしめたまま店内の人に手を振ってる。

恥ずかしい。

でも、なんだか嬉しい。

胸に顔を埋めていたら、僕のモバイルが震えた。

「誰?」

「二宮・・・君からメールが」

メールを開けば、

【契約の手配がありますので私は一足先に帰ります。

1週間ほどですが休暇が出来るようにしてありますので暫くはこちらに。

翔さん・・・幸せになってください。

あなたの今の顔とてもきれいで素敵ですよ。

松本さんのセリフじゃないけど天使がくすんで見えますよ】

慌てて外を見れば、二宮君が店の扉を押して立ち去るところだった

二宮君、ありがとう。

知っていたんだね、会うのは潤だってこと。

あの会社が潤の会社だって事をあなたがわからないはずはない。

あなたが潤と僕を引き合わせてくれた。

「翔、行こう」

潤と手を繋ぎ騒ぎの中、外へと歩き出す。

どこもかしこもイルミネーションでキラキラする街。

しっかりと繋いだ手。

交わすキス。

夢にまで見た潤の隣。

心の痛みも、さびしさも、闇の中にあった未来も、あなたの横で消えていく。

「翔、もう不安にさせない。

君の隣は誰にもやらない。

オレの横は誰でもなく翔だけの場所だ。

翔がいい。

オレの隣にいるのが翔じゃなきゃこの人生には意味がない。

愛してる」

「はい、潤、僕もあなたを愛してます」

愛してる、だれよりも。

あなたじゃなきゃだめなんです・・・。





足を止め抱き締めあう僕達の肩に雪がそっと降り積もった。

それは、とても暖かい雪だった。









君がいいんだ…fin












お付き合いありがとうございました。