「2人とも好きあってるのに、なんですれ違っちゃうのかな」
なんか悲しくなって呟いた。
「好きだから、じゃないかな。
好きって難しいって思う。
カズさ、ボクが好きだよって言っても不安そうな顔してる時あるよ?」
潤くんに言いあてられてどきっとする。
「ボクはカズが好き。
なのに、最近・・・へんだよ。
それ以外ないんだよ?
もしかしたら、そばに居すぎるとわかんなくなっちゃうのかな?」
わかんなくなっちゃう。
違うな、欲が出るんだ。
あれもこれもって。
「ね、潤くん」
「ん?」
「今日、翔先輩は潤くん家に帰ってくるの?」
「飯作って待ってますねっては言ったけど」
「奥さんかいっ!」
「誰が?誰の?翔先輩の?」
「ちがうよ、カズのだよって言うとこでしょ、そこは!」
あー、もう、この人は雅紀先輩ほどではないにしろ、ほわほわと暖かくてちょうっとぬけてて。
自分がどんだけ綺麗かわかってなくて、辺り構わず柔らかい笑顔で魅了して・・・。
俺のだ!って、いつも叫びたくなっちゃう。
あ。
「潤くん俺、いいこと考えた」
「実はボクも考えてることがあるんだ」
「同じかな?」
「同じだよ」
「じゃあ、智先輩に回収お願いする」
「ボク、探す」
「の前に、潤くん」
「ん?」
パソコンに手を伸ばす潤くんの手を引いて体を寄せる。
そっと口唇を重ねた潤くんは、
「大好きだよ、カズ。
けど、レポートの仕上げは自分でしてね」
って笑った。
ちぇっ!
でも、いいや。
今は2人のことだ。
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