「くはぁ」
あくびの声に横を見れば、
とろんとした目。
眠いんだろうに、
オレが起きているから、一生懸命目を擦ってる。
「先に寝な。
オレ、台本読み直してるから何時になるかわからないよ」
そう言ってるのに、首を縦にふらない。
「翔、明日は早いんでしょ?」
「7時半に迎えが来ることになってる」
「ほらー、もう1時だよ」
「んゃ、だ」
どこまでも起きていようとする翔に根負けして、
台本を閉じる。
フットランプだけにして、
翔を腕に閉じ込めた。
「いいの?」
「いいよ、寝よう」
「んふ、こうやって、
眠る瞬間まで、
大好きな人と一緒にいられるって、
・・・幸せだよね。
じゅん、すき・・・」
大分無理をしてたんだろう、
すぐに寝息をたて出す翔。
だれにどんなに甘い言葉を言われたって、
翔の『すき』には、敵わない。
どんな言葉よりもオレの胸をくすぐる。
「オレも好きだよ」
眠ってしまった翔に口付けを落とし、
オレも瞳を閉じた。
ベニヒメリンドウ:愛のささやき